オーストリアVienna医科大学のHelga Radner氏(左)とJosef Smolen氏(右)

 米国リウマチ学会と欧州リウマチ学会が共同で策定した関節リウマチ(RA)に関する疾患分類新基準(2010 ACR/EULAR分類基準)の妥当性を1987年に策定されたACR基準と比較して評価した800件弱の報告に対する詳細なシステマチックレビューの結果、新基準は旧基準に比べて感度がやや高く、特異度は同等かやや低いことが示された。新基準の策定に中心的に関わったオーストリアVienna医科大学のDaniel Aletaha氏、Josef Smolen氏らのグループの研究成果で、11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で同グループのHelga Radner氏が発表した。

 RAの2010 ACR/EULAR分類基準に関しては、公表以来、さまざまな集団を対象とし、異なるアプローチで妥当性を検証した研究が報告されてきた。Radner氏らは、Medline、EMBASE、コクランセントラルに登録された研究と、2010〜12年に開催されたACR、EULARの学術集会のアブストラクトを対象に系統的文献レビュー(SLR)を実施。条件を満たした研究を選んで、感度と特異度、陽性予測値と陰性予測値に関する情報を得た。

 その結果、新基準の精度を分析していた750件の論文と28件のアブストラクトからの抽出分に4件の個別検索を加え、論文17件、アブストラクト17件が条件を満たした(総計患者数は4004人)。

 研究グループはこれらの研究報告を、(1)診断基準の妥当性を判断するゴールドスタンダード(基準となる診断)の違い、(2)検討対象とした関節数の違い、(3)対象患者の組み入れ基準の違い、などで層別化して感度と特異度を検討した。その上で、新基準と旧基準を直接比較していた以下の報告をもとに、両基準の感度と特異度を比べた。

 4件(論文3件とアブストラクト1件)は、関節炎患者全体を対象としていた。3件が専門医の診断を、1件は専門医の診断とDMARD使用開始を分類基準の妥当性のゴールドスタンダードとしていた。個々の研究が報告していた新基準と旧基準の感度の差分は−0.04〜0.06、特異度は−0.07〜0.21。感度の平均値は0、特異度の平均値は0.03で、感度・特異度とも両群に有意差は認められなかった。

 関節炎患者のうち、他の疾患でより適切に説明できる滑膜炎を有する患者を除外した5件(論文3件とアブストラクト2件)は、2件が専門医の診断を、3件がMTX開始をゴールドスタンダードとしていた。感度の差分は−0.27〜0.13、特異度の差分は−0.01〜0.3。感度の差の平均値は−0.21、特異度の差の平均値は0.16で、感度は新基準が、特異度は旧基準がそれぞれ有意に優れていた。

 関節炎患者のうち、他の疾患でより適切に説明できる滑膜炎を有する患者を除外し、RAに典型的な骨びらんを考慮して対象を決めていた6件(論文5件とアブストラクト1件)は、1件が専門医の診断とDMARD使用開始を、3件はMTX開始を、2件は専門医の診断を、それぞれゴールドスタンダードとしていた。感度の差分は−0.27〜0.13、特異度の差分は−0.24〜0.2。感度の差の平均値は−0.09、特異度の差の平均値は0.0で、感度は新基準が優れていたが、特異度は両群に有意差が見られなかった。

 Radner氏はこれらの結果から、ACR/EULARのRA分類新基準は1987年のACR旧基準に比べ、さまざまな条件下でほぼ一貫して、感度は優れているものの、特異度は同じかわずかに劣ることが示された」とまとめ、「新基準の有効性を調べる際は、新基準で規定した手法に則り、適切な対象で確認すべきだ」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)