オランダ・アムステルダム大学のSofia Ramiro氏

 大規模患者コホートのデータを基にした解析から、関節リウマチ(RA)患者におけるベースラインの全般的健康度の悪化や直近の疾患活動性の増悪は生物学的製剤の投与中止率を高め、逆にベースラインにおけるメトトレキサート(MTX)併用は中止率を下げる予測因子であることが示された。11月10日から14日までワシントンDCで開催された米国リウマチ学会(ACR2012)で、オランダ・アムステルダム大学のSofia Ramiro氏らが発表した。

 Ramiro氏らは、1998年から2011年までに米国のRA患者データバンク(NDB)に登録された患者のうち、NDB登録後に初めての生物学的製剤による治療を開始した患者を解析対象とした。

 生物学的製剤の中止時期は、中止の場合は投与の最終月、他の生物学的製剤に切り替えた場合は、新たな生物学的製剤の投与を受けた日付と定義した。

 解析対象は2281例で、生物的製剤の内訳はTNF阻害薬が2225例、非TNF阻害薬が56例だった。

 対象全体の年齢は59.7歳、女性比率は80%、RA罹病期間は15.0年、BMIは27.5kg/m2、喫煙率は13%で、人種は白人が93%、既婚者が71%、雇用者が34%を占めた。

 調査の結果、生物学的製剤の年間中止率は17%(95%信頼区間[CI]:0.16〜0.18)だった。継続率が50%に低下するまでの期間は、全生物学的製剤では4.08年だったが、2004年以前の治療開始例では4.33年だったのに対し、2005年以降の開始例では3.08年と短縮していた。製剤別ではTNF阻害薬の4.08年に対し、少数例ながら非TNF阻害薬では1.66年と短かった。

 ファーストライン投与における非TNF阻害薬に対するTNF阻害薬の治療中止の相対リスクは、交絡因子補正前が0.48(95%CI:0.34〜0.69)、補正後は0.60(95%CI:0.40〜0.90)だった。

 多変量Cox回帰モデルによる分析により、治療継続に影響したベースラインの属性を検討したところ、年齢、患者評価による全般重症度、合併症、MTX使用、SF-36感情面スコア、線維筋痛症状が、また時間依存性モデルによる分析では年齢、合併症、SF-36身体面スコア、関節リウマチ疾患活動性指数(RADAI)、疼痛スケールスコアが同定された。

 以上の検討からRamiro氏は、「本コホートによる分析では生物学的製剤の継続率は比較的高かったが、それは同製剤の有効性の高さに起因すると考えられた。また、ファーストラインにおける継続率は、TNF阻害薬の方が非TNF阻害薬に比べて高かった」と指摘した。また、「2005年以降に生物学的製剤を開始した群では継続率が低かったが、選択肢の増加が影響したと考えられる」と考察した。

 同氏はさらに、「ベースラインにおける低い全般的健康度、喫煙、合併症数は中止率を上昇させる予測因子であり、一方でMTX併用は中止率の低下と関連していた。ただし中止直前においては、中止率に対する最も強力な影響因子は疾患活動性(RADAI)の増悪で、喫煙やMTX使用は有意な影響因子ではなかった」と論じた。

(日経メディカル別冊編集)