オランダUniversity of TwenteのMart A. F. J. van de Laar氏

 Treat to Target(T2T)に基づく関節リウマチ(RA)治療は効果的であるが、費用対効果に優れているかどうかは明らかになっていない。今回、2つのコホートを比較検討したところ、早期RA患者において、T2Tは当初、効果も費用も高かったが、3年目には費用対効果に優れた治療法になることが示唆された。オランダUniversity of TwenteのMart A. F. J. van de Laar氏らが、11月10日から14日まで米国ワシントンDCで開催された第70回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 今回の検討は、類似した背景因子を持つ観察研究のコホート同士を比較する準実験的研究として行った。一方のコホートはT2Tに基づいて寛解を目指して治療強度の調節が行われたDREAM試験のコホートであり(T2T群)、もう一方は担当リウマチ専門医の判断で随時治療強度を調節する通常の治療が実施されたNijmegenの研究コホートだった(UC群)。

 対象としたのは、発症から1年以内でDMARD治療歴のない18歳以上のRA患者。登録時期はT2T群が2006年1月以降、UC群が2000年1月から2009年2月までで、追跡期間は最低2年以上とした。その結果、T2T群は261例、UC群は213例だった。

 ベースライン時の背景因子を見ると、両群間で有意差が認められた項目はDAS28の平均値(T2T群5.0、UC群4.8)、CRPの平均値(14.0mg/L、6.7mg/L)、全般評価VASの平均値(52.9、45.7)、HAQスコアの中央値(1.1、0.9)。それ以外の主な背景因子である年齢、女性比率、RF陽性率、SJC28、TJC28などでは差は認められなかった。

 まず、治療開始から2年後における両群の寛解達成率と質調整生存年(QALY)、ならびにRAに関連したすべての費用の比較を行った。

 その結果、ベースライン時のDAS28の平均値はT2T群の方が有意に高かったにもかかわらず、2年後は有意に低くなっていた(T2T群2.4、UC群3.1)。また、寛解導入率(64.4%、34.7%)とQALYの中央値(1.45年、1.39年)も、T2T群が有意に優れていた。

 一方、費用に関しては、入院費はT2T群の方が有意に少なかったものの、抗TNF薬の薬剤費は有意に高かった。1人当たりの総額で見ると、T2T群が4791ユーロ、UC群が3727ユーロと、T2T群の方が有意に高かった。

 また、増分費用効果比(incremental cost-effectiveness ratio:ICER)を求めると、寛解患者1人当たりは3591ユーロ、1QALY当たりは1万9410ユーロであった。

 次に、追跡期間を3年まで延長して同様に解析を行うと、T2T群の方が効果は高いものの、費用はUC群と変わらなくなることが示された。

 以上の結果よりvan de Laar氏は、「早期RA患者に対するT2Tに基づく治療は、そうでない治療より多くの患者を寛解に導き、QALYを改善する優れた治療法であることが確認された。当初はT2Tの方が治療費用は高いものの、3年後にはその差は消失し、費用対効果において優れた治療となることが示唆された」と語った。

(日経メディカル別冊編集)