米国Albany Stratton退役軍人医療センターのPrashant Kaushik氏

 米国の大規模コホートのデータ解析から、関節リウマチ(RA)患者の皮下結節は、心血管疾患(CVD)の有意なリスク因子であることが明らかになった。11月10日から14日までワシントンDCで開催された米国リウマチ学会(ACR2012)で、米国Albany Stratton退役軍人医療センターのPrashant Kaushik氏らが報告した。

 CVDはRAの主要な併存疾患であり、RAの疾患活動性や重症度はCVD発症リスクに影響を及ぼすことが分かっている。一方、皮下結節は重度のRA患者に生じることが多いが、これまでに皮下結節がRA患者のCVDリスク増加のマーカーに成り得るかどうかは検討されていなかった。

 そこで本研究では、米国のRA患者の大規模データベースであるCORRONAの2001年10月から2011年11月までのデータを基に、皮下結節の有無がCVDリスクに関連するかどうかについて検討した。

 皮下結節の有無は追跡期間を通じて定期的に調べた。CVDとしては、虚血性心疾患、脳卒中/一過性脳虚血発作、慢性心不全、心血管死を評価した。CVDは主治医が報告したイベントを心臓専門医が判定した。CVDのリスク因子として、年齢、性別、CVD家族歴、喫煙、糖尿病、高血圧、CVD既往、脂質低下薬の使用、BMI、飲酒習慣を検討した。

 2011年9月時点で、同データベースにはRA患者2万3327例が登録されており、追跡期間の平均は3年だった。7万455患者・年の追跡で795例がCVDを発症した。また、登録RA患者のほぼ3割に当たる6790例が皮下結節を有していた。

 Cox比例ハザードモデルを用いた検討では、皮下結節保有例の非保有例に対するCVD発症のハザード比は、背景因子補正前には1.44(95%信頼区間[CI]:1.23〜1.67)、補正後には1.25(95%CI:1.07〜1.46)となり、皮下結節保有例では非保有例に比べてCVDリスクが有意に高いことが示された。

 また、同モデルを用いた検討から、加齢、男性、RA発症年齢、糖尿病、高血圧、喫煙、脂質低下薬の服用、心血管疾患の合併はCVD発症を促すリスク因子であること、飲酒習慣はCVD発症の抑制因子であることも示された。

 さらに炎症マーカーであるCRPとESRをモデルに組み入れる感度分析を行ったが、皮下結節とCVDの関連は一貫して認められた。しかし、これらの検査値を測定していた患者は多くはなく、感度分析が十分なレベルで行われたとは言い難かった。

 本研究からKaushik氏は、「米国のRA患者では皮下結節があるとCVDの発症リスクが有意に上昇した。RA自体もCVDのリスク因子だが、皮下結節は評価しやすい表現型であり、ハイリスク者の同定は容易になるのではないか」と述べ、「今後は皮下結節がCVDリスクを上昇させる機序を解明する必要がある」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)