東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科の山崎隼人氏

 免疫抑制薬で治療中のリウマチ性疾患(膠原病)患者では感染症、特に呼吸器感染症のリスクが上昇する。800人弱を対象とした国内の新たな大規模コホート研究で、1年間の発症が約8%だったこと、呼吸器感染症発症者では死亡リスクが高かったこと、発症のリスク因子として年齢65歳以上、重度の喫煙歴、血清クレアチニン高値、最大プレドニゾロン用量などが同定されたことなどが示された。PREVENTスタディの成果で、11月10日から14日まで米国ワシントンで開催された米国リウマチ学会(ACR2012)で、東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科の山崎隼人氏らが報告した。

 PREVENTスタディは、わが国の16施設が参加する前向き患者コホート研究である。2008年から2010年にリウマチ性疾患で入院し、0.5mg/kg/日以上のプレドニゾロン、標準的な免疫抑制薬、あるいは生物学的製剤が投与された765例を対象とし、12カ月間追跡した。呼吸器感染症の診断はイベントモニタリング委員会が行った。

 リウマチ性疾患として全身性エリテマトーデスが全患者の27.5%で最も多く、次いで関節リウマチ(25.7%)、血管炎(15.7%)の順だった。1年後の時点で32例が死亡、667例が生存しており、66例が追跡不能となった。呼吸器感染症は61例で発症した。

 死因は、間質性肺炎の増悪が14例(43.8%)と4割強を占め、以下、敗血症、悪性腫瘍、肺炎、急性心不全が3例(9.4%)ずつ、肺出血、急性肝不全が2例(6.3%)ずつ、胃潰瘍穿孔、不明が1例ずつ(3.1%)だった。

 呼吸器感染症の内訳は、細菌性肺炎が25例(41.0%)、ニューモシスチス肺炎が20例(32.8%)、真菌性肺炎が5例(8.2%)、サイトメガロウイルス肺炎、肺結核、細菌と真菌の混合感染症が3例(4.9%)ずつ、膿胸が2例(3.3%)であった。カプランマイヤー分析の結果、呼吸器感染症の発症群では、非発症群に比べて生存期間が有意に短かった(ログランク検定によるP値<0.01)。

 呼吸器感染症の発症群(61例)と非発症群(704例)の背景を比較すると、発症群は高齢で、女性比率が低かった。また、喫煙指数(Brinkman Index)≧400の患者、6カ月以内に重篤な感染症に罹病し回復した患者が有意に多く、糖尿病合併率も高かった。

 一方、リウマチ性疾患の種類による呼吸器感染症発症率の有意な違いは認められなかった。呼吸器感染症の発症群では非発症群に比べて、プレドニゾロンの使用量が多かったが、ステロイドパルス療法の施行率や生物学的製剤の使用率に群間差はなく、免疫抑制薬の使用率は低かった。

 多変量解析を行ったところ、呼吸器感染症の独立なリスク因子として、年齢65歳以上、重度の喫煙歴、血清クレアチニン高値、最大プレドニゾロン用量が同定された。

 以上の検討から山崎氏は、「免疫抑制薬が投与されたリウマチ性疾患患者のうち、呼吸器感染症の発症群では死亡リスクが高かった。高齢、重度の喫煙歴、腎機能低下、プレドニゾロンの高用量使用例では呼吸器感染症の発症リスクが上昇することが確認された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)

【訂正】
本文第2段落で「0.5mg/?/日以上のプレドニゾロン」と表示される部分がありましたが、正しくは「0.5mg/kg/日以上のプレドニゾロン」でした。訂正します。