道後温泉病院理事長の高杉潔氏

 ワシントンDCで11月10日から14日に開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で、道後温泉病院理事長の高杉潔氏が「ACRマスター」を授与された。この資格は65歳以上の会員に推薦で与えられる、いわば「名誉会員」資格だが、臨床や教育、ケアなどの継続的な尽力が評価の対象になる。3人の推薦を必要とし、年間15人が原則という狭き門だ。今期を含め、これまでに約320人が授与されているが、日本人では2人目となる。

 高杉氏の学術上の業績としては、関節リウマチに合併するAAアミロイドーシスの基礎、臨床研究がある。現在までに400人を超える同疾患の患者の治療に携わってきた。それに加え、リウマチ分野への特筆すべき貢献としてACRが挙げているのは、チーム医療体制の構築と若手医師の育成だ。

 高杉氏は、1982年に道後温泉病院が開院すると、翌83年に院長として就任し、整形外科医とリウマチ内科医、PT、OT、STなどのリハビリテーションスタッフが共同で治療に当たる体制を構築した。同院理事長職にある現在も、本院および提携のサテライト病医院で診療に当たっているほか、全国を巡り、若手リウマチ科医に対して、問診、視触診を含む基礎的な診察の重要性を徹底して教え込んでいる。関節所見の取り方に関する著述も多い。

 高杉氏はACRマスター授与について、「問診を大切にし、診療の基礎を大切にしてきました。リウマチ医として当たり前のことをしてきただけです。申しわけないが面白い記事になるようなことは何一つしていません。そうでしょう?」と述べた。おそらくその姿勢こそが授与の理由なのだろう。

(日経メディカル別冊編集)