米国Janssen Scientific AffairsのSusan C. Bolge氏

 ゴリムマブ(GLM)、アダリムマブ(ADA)、エタネルセプト(ETN)はいずれも投与経路が皮下注射の抗TNF薬である。これら3薬剤に対する患者の印象を調べたところ、効果に対する満足度は同程度であったものの、注射時に患者に与える痛みや不快感についてはGLMがより少なかった。11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で、米国Janssen Scientific AffairsのSusan C. Bolge氏らが発表した。

 現在、関節リウマチ(RA)をはじめ炎症性関節炎に対する生物学的製剤による治療の選択肢が広がっている。特に抗TNF薬には投与経路や投与間隔、薬価などが異なる複数の薬剤があり、その中から患者の好みや都合に合ったものを選ぶことができる。しかし選択時に、患者にとって重要なポイントの1つになるはずの注射時の痛みや不快感などに関する情報は少ない。そこでBolge氏らは、3種類の皮下注射タイプの抗TNF薬に対する印象について調べた。

 対象は、2011年終わり頃から2012年始めにかけての調査時期に、GLM、ADA、ETNのいずれかを使用しており、電話での聞き取り調査への同意が得られたRAもしくは乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)の患者393例。使用中の抗TNF薬の内訳は、GLMが69例、ADAが143例、ETNが181例であった。

 使用中の抗TNF薬の効果(身体機能の維持・悪化予防、症状緩和、効果発現の速さ)に対する満足度に加え、直近の注射時に経験した不快感(discomfort)、痛み(pain)、ヒリヒリ感(stinging)、灼熱感(burning)の程度を質問した。なお、治療効果に対する評価については1(非常に不満)〜7(非常に満足)の7段階で、注射時の不快感などについては「Severe」、「Moderate」、「Mild」、「None」の4段階で、それぞれ評価してもらった。

 ただし、発売時期が比較的最近のGLMの使用者は、残りの2つの薬剤の使用者に比べ使用期間が有意に短く、静脈注射タイプの抗TNF薬を使用した経験がある人の割合が有意に高かった。そのため、これらの要素をプロペンシティスコアで補正した上で、各薬剤への評価を比較した。

 その結果、効果に関して満足度が高かった患者の割合(7段階中の6と7を合わせた割合)はいずれの項目においても、3つの薬剤間に有意な差は認められなかった。

 一方、注射時の不快感については、「Severe」と「Moderate」を足した割合はGLMが13%、ADAが25%、ETNが23%で、GLMが最も少なく、不快感をまったく覚えなかった人(「None」)の割合は順に49%、32%、18%で、GLMが最も多かった。

 注射時の痛みに関しても、「Severe」と「Moderate」を足した割合は11%、24%、15%で、GLMが最も少なく、痛みをまったく覚えなかった人(「None」)の割合は49%、44%、28%で、GLMが最も多かった。

 さらに、注射時のヒリヒリ感と灼熱感についても、同様の傾向が認められ、いずれの項目も「Severe」と「Moderate」の合計はGLMが最も少なく、「None」はGLMが最も多かった。

 以上の結果よりBolge氏は、「皮下注射の抗TNF薬で比較すると、効果に対する満足度は3つの薬剤間で同等であったが、注射時の痛みや不快感などはGLMがより少なかった。今後は、この違いが抗TNF療法のアドヒアランスや治療転帰に及ぼす影響について検討を進めたい」と語った。

(日経メディカル別冊編集)