米国University of Nebraska Medical CenterのMarshall Davis氏

 早期の関節リウマチ(RA)患者において、アルコール消費量と病状進行の間には、用量依存的な関係があることが示された。特に、1カ月当たり15本以上のアルコール飲料を消費する患者の場合、X線上の増悪が有意に加速することが示された。アフリカ系米国人(黒人)を対象とした研究の成果で、米国University of Nebraska Medical CenterのMarshall Davis氏らが、11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 アルコールには炎症促進作用と抗炎症作用の両面があることが報告されており、RAの進行に関連する可能性がある。少量のアルコール摂取はTNF-α値やIL-6値を低下させるとの報告がある一方、欧州からの報告では、アルコールの多量摂取は、これらの数値を上昇させ、RAの進展と関連する、としている。そのため今回Davis氏らは、黒人におけるアルコール摂取量と初期RAの進展との関連について、X線画像を用いて検討した。

 対象は、米国黒人の早期RA患者を登録した前向き観察研究コホートであるCLEAR registry登録者のうち、発症後2年以内の患者とした。主要アウトカムは、3年後の時点でX線画像に見られる病状進展とし、Sharp-van der Heijdeのスコア(SHS、スコアは0〜280)を用いて骨びらんの進展を評価した。X線画像はベースライン時と発症から3年後の2回測定した。

 1カ月当たりのアルコール消費量とSHSとの関連を見ると、15本/月超では右肩上がりに上昇していた。そのため、対象をアルコール飲料の平均消費量が15本/月未満の少量群(139例)と、15本/月以上の多量群(27例)に分類した。

 一般化推定方程式(GEE)を用いた単変量解析の結果、少量群の回帰係数は−0.001(95%信頼区間[CI]:−0.032〜0.029)、標準得点は−0.09と、有意ではないものの進展と負の関連を認めた。多量群では回帰係数0.004(95%CI:0.000〜0.009)、標準得点は1.78だった。

 多変量解析を行い、交絡因子(年齢、罹患期間、性別、教育、BMI、抗リウマチ薬[DMARDs]、抗シトルリン化ペプチド[CCP]値、IgM-RF[リウマチ因子]、CRP、喫煙状況)を調整した結果、少量群の回帰係数は−0.005(95%CI:−0.041〜0.031)、標準得点は−0.25だった。多量群では回帰係数0.007(95%CI:0.001〜0.013)、標準得点は2.39と、有意な正の相関を認めた(P=0.017)。

 これらの結果からDavis氏は、「黒人早期RA患者におけるアルコール消費量と病状進行の間には、用量依存的な関係があった」と結論し、「1カ月当たり15本以上のアルコール飲料を消費するRA患者では、X線上で有意な増悪の加速を認めた」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)