スイスBern大学のBurkhard Moller氏

 DAS28-ESRなどの疾患活動性スコアで寛解とされたRA患者で、貧血の有無が骨破壊の検出に有用である可能性が示された。スイスBern大学のBurkhard Moller氏らが、11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 貧血は、赤血球寿命の短縮や、赤血球産生低下による鉄代謝の障害などによって起こる。RAの病態にも関与する炎症性サイトカインのIL-6は、鉄代謝を制御するヘプシジン−フェロポーチン系に作用して貧血の原因になるとされる。そのため今回Moller氏らは、RA増悪と貧血との関連を検討した。

 対象は大規模前向きRA患者コホートの登録者で、貧血群764例、非貧血群3241例について解析した。貧血の定義には世界保健機構(WHO)基準(ヘモグロビン濃度が女性12g/dL、男性13g/dLより低い場合と定義)を使用した。

 DAS28-ESRは貧血群で平均5.2、非貧血群で平均4.2だった。罹患期間はそれぞれ6.7年、6.0年。骨びらんの進行スコアであるRatingenスコア(0〜190点、高いほど悪化)の最大値は5点、3点。ヘモグロビン濃度は11.3g/dL、13.5g/dL。リウマトイド因子(RF)陽性率は80%、76%。皮下結節率は31%、28%。血管炎率は6%、4%だった。

 X線画像から、活動性疾患群と臨床的寛解群(DAS28-ESR<2.6)における骨びらんの進行を、Ratingenスコアの最高点に対する百分率で示したところ、活動性疾患群が寛解群に比べ高値だったが、有意差は認めなかった。

 一方、年齢、性別、リウマトイド因子(RF)、RAの罹患期間や治療法などの共変量と潜在的な交絡因子で調整して分析した結果、非貧血群に比べ貧血群では有意に骨びらんが進行していた(P<0.001)。

 貧血群を、さらに貧血の頻度が50回以上だった群と50回未満だった群に2分し、非貧血群との3群で比較したところ、骨びらんの進行は50回以上貧血群、50回未満貧血群、非貧血群の順に大きかった(P<0.001)。

 層別化分析を行ったところ、メトトレキサートや抗TNF抗体などの投与薬剤別では、貧血群と非貧血群で、骨びらんの進行に有意差は認められなかった。しかし、寛解(DAS28-ESR<2.6)を達成した患者に限った場合は、非貧血群に比べ貧血群で有意に骨びらんの進行が大きかった(P<0.001)。

 これらの結果からMoller氏は、「貧血は、DASとは独立なRA増悪の予測因子であり、臨床的寛解が得られていても貧血がある場合には関節破壊が進んでいる可能性がある」とし、「DAS28-ESRを寛解の指標として用いる場合、貧血は無症候性の疾患活動性を示すサロゲートに成り得る」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)