米国University of PennsylvaniaのJoshua F. Baker氏

 関節リウマチ(RA)では、X線画像上で関節破壊が認められない早期から滑膜炎や関節浮腫などの炎症が起きている。これらの変化を早期から検出できるMRIを利用することにより、将来の関節破壊の進行が予測できる可能性が抗TNF薬ゴリムマブ(GLM)の第3相試験GO-BEFOREのサブ研究において示された。同研究グループを代表し米国University of PennsylvaniaのJoshua F. Baker氏が、11月10日から14日までワシントンDCで開催されていた第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 GO-BEFORE試験はメトトレキサート(MTX)による治療歴のない早期RA患者を対象に、GLM+MTXの有効性と安全性、X線画像上で関節破壊の進行抑制効果を検討した。MRIサブ研究には、同試験の登録患者637例のうち318例が組み込まれ、ベースライン時および12、24週目のMRI所見と52、104週目のX線画像上の関節破壊との関連を検討した。

 MRI所見は、第2〜5MCP関節について、滑膜炎を0〜3点、骨髄浮腫を0〜3点、骨びらんを0〜10点で採点するRA MRI Scoring(RAMRIS)システムを用いて評価した。一方、X線画像上の関節破壊については、van der Heijde-Sharp(vdHS)スコアにて評価した。

 まず、52週時点で関節破壊の進行が認められた患者群は、進行が認められなかった患者群と比較すると、ベースライン時の滑膜炎スコアが有意に高く(P=0.03)、24週までの同スコアの改善幅は有意に少なかった(P=0.003)。骨髄浮腫スコアも同様に、ベースライン時のスコアが有意に高く(P=0.009)、24週までの同スコアの改善幅は有意に少なかった(P<0.001)。さらに、骨びらんスコアも、ベースライン時のスコアが有意に高く(P=0.03)、24週時点での増加率も有意に高かった(P=0.001)。

 多変量ロジスティック回帰分析を年齢、性別、ベースライン時のDAS28-CRP、24週目までのDAS28-CRPの変化量、ベースライン時のvdHS、治療介入を共変数として行うと、どのスコアも関節破壊進行の有意な因子と同定された。52週時点における関節破壊進行のオッズ比(OR)は、ベースライン時の滑膜炎スコアの場合は1ポイント当たり1.14(95%信頼区間[CI]:1.04-1.24、P=0.003)、24週までの同スコアの変化量の場合は1ポイント当たり1.19(95%CI:1.06-1.33、P=0.003)であった。

 同様に骨髄浮腫スコアの場合、関節破壊進行のORはそれぞれ1ポイント当たり1.05(95%CI:1.01-1.09、P=0.02)、1.12(95%CI:1.05-1.20、P=0.001)であった。

 しかし、ベースライン時の骨びらんスコアは有意な関節破壊進行の因子ではなかった(OR:0.99、95%CI:0.97-1.01、P=0.3)。ただし、24週目までのスコア増加率については、多変量解析でも有意な因子として同定された(OR:2.85、95%CI:1.41-5.78、P<0.001)。

 なお、関節破壊のエンドポイントを104週時点とした場合には、24 週目までの骨髄浮腫スコア増加率(P=0.07)およびベースライン時の骨びらんスコア(P=0.1)以外が有意な規定因子として同定された。また、RAMRISスコアの評価時期を12週目にしても、滑膜炎、骨髄浮腫、骨びらんはいずれも有意な関節破壊進行の規定因子であった。

 以上の結果より、RA患者が1年後、2年後に関節破壊の進行をきたすリスクは、ベースライン時のMRI所見や24週までのMRI所見の早期変化を見ることで、ある程度予想できることが示唆された。また、ROC解析により関節破壊進行の予測能を求めると、ベースライン時の滑膜スコアAUCと骨髄浮腫スコアAUCはそれぞれ0.71と0.70であり、いずれもDAS28-CRP AUCの0.66を有意に上回る予測精度であった(順にP=0.04、P=0.009)。

 Baker氏は、「今回の結果は臨床試験という選ばれた集団で得られたものであり、これを実臨床の場にそのまま応用できるかどうかはまだわからない」とコメント。しかし、「少なくとも臨床試験においては、これらの因子を利用することにより、より少ないサンプルサイズ、より短い追跡期間で臨床試験を組むことも可能になるなど、利用価値は高いと思われる」と語った。

(日経メディカル別冊編集)