米国Hines退役軍人病院のMin-Woong Sohn氏

 変形性膝関節症患者とその疾患ハイリスク者を対象とした研究で、身体活動がより不活発だと収縮期血圧が上昇する傾向が示された。米国Hines退役軍人病院のMin-Woong Sohn氏らが、11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 テレビの視聴やコンピューター使用が中心の不活発な生活は、定期的な運動の有無とは独立に、心血管疾患のリスク因子であることが明らかになっている。今回、Sohn氏らは、変形性膝関節症患者を対象に、不活発さと血圧の関連を調べた。

 対象は、米国内を中心とした変形性膝関節症の大規模多施設前向き観察研究であるOsteoArthritis Initiative(OAI)に登録された変形性膝関節症患者とハイリスク群のうち、48カ月目に不活発な時間、血圧、加速度計による身体活動を測定できた1760例。加速度計での測定が4日未満もしくは1日当たり10時間未満だった例、および降圧薬や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)服用例を除外した685例を分析対象とした。

 身体活動は水中活動と睡眠中を除き、加速度計による測定を連続7日間行った。活動カウントが1分間当たり100未満だった場合を不活発、2020/分以上で10分間以上続いた場合を中等度〜精力的な活動、両者の中間を軽度活動と定義した。

 血圧が140/90mmHg以上(糖尿病/腎不全患者の場合130/80mmHg以上)だった場合は、血圧コントロール不良とみなした。

 分析の結果、加速度計着用時間のうち不活発な時間は、全患者平均でおよそ10時間/日(66%)で、身体活動率は全体的に低かった。軽度活動時間は4.7時間/日、中等度〜精力的な活動時間はわずか24分/日だった。

 不活発な活動時間の長さで対象者を四分位ごとに4群に分け、不活発な活動時間が60.8%未満を1群(194例、61.3歳、男性24.6%)、60.8〜66.8%を2群(179例、61.6歳、男性25.3%)、66.9〜72.3%を3群(178例、63.9歳、男性28.3%)、72.3%以上を4群(134例、65.0歳、21.9%)とした。

 中等度〜精力的な活動時間は、1群で32.3分、2群で28.5分、3群で18.9分、4群で11.3分だった。X線診断による変形性膝関節症の罹患率は、それぞれ29.1%、23.9%、26.4%、20.5%。肥満率は24.4%、24.4%、26.1%、25.0%だった。

 一方、収縮期血圧は、1群119.1mmHg、2群123.1mmHg、3群121.6mmHg、4群122.9mmHg、拡張期血圧はそれぞれ、73.7mmHg、75.7mmHg、75.2mmHg、74.5mmHgで、両方とも2群が最も高かった。また血圧コントロール不良な患者は、1群13.7%、2群25.6%、3群16.1%、4群16.4%だった。

 不活発な活動と血圧の関係は、年齢、性別、人種/民族、収入、飲酒、喫煙、身体活動などで調整して比較した。

 1群と2〜4群の収縮期血圧の差をみると、2群は3.98mmHg(95%信頼区間[CI]:0.91〜7.04)、3群は2.50mmHg(95%CI:−0.69〜5.66)、4群は3.78mmHg(95%CI:0.20〜7.37)高く、2群と4群では有意差を認めた。同様に拡張期血圧は、1群に対し2群では1.93mmHg(95%CI:0.04〜3.82)。3群は1.51mmHg(95%CI:−0.45〜3.46)、4群は1.22mmHg(95%CI:0.65〜2.27)高く、こちらも2群と4群で有意な差があった。

 不活発な時間と血圧コントロール不良についてロジスティック回帰分析により検討したところ、1群を基準とした各群のオッズ比は、2群が2.29(95%CI:1.29-4.07)、3群が1.22(95%CI:0.65-2.27)、4群が1.25(95%CI:0.63-2.47)だった。

 これらの結果からSohn氏は、「変形性膝関節症患者やその罹患ハイリスク群では、不活発な時間と収縮期血圧の上昇、および血圧コントロール不良の比率に有意な関連が認められた」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)