オランダUniversity of AmsterdamのSofia Ramiro氏

 抗IL-6受容体抗体やCTLA4-Ig製剤、抗CD20抗体など抗TNF薬以外の生物学的製剤(非抗TNF薬)の登場により、関節リウマチ(RA)領域における生物学的製剤を用いた治療の選択肢は大きく広がった。しかし、米国における非抗TNF薬の継続使用率は抗TNF薬より低いという結果が示された。11月10日から14日までワシントンDCで開催された第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で、オランダUniversity of AmsterdamのSofia Ramiro氏らが報告した。

 今回の知見は、米国のRA治療の場に生物学的製剤が登場した1998年から2011年までに、同製剤による治療を開始したRA患者を対象に、6カ月ごとに実施したアンケート調査を解析した結果得られたもの。アンケート調査の対象は、ファーストライン治療例が2340例、セカンドライン治療例が1128例だった。

 処方されていた生物学的製剤は、5種類の抗TNF薬(エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、certolizumab pegol)のほか、CTLA4-Ig製剤(アバタセプト)、抗CD20抗体(リツキシマブ)、抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)、IL-1受容体拮抗薬(anakinra)の計9剤。ただし、本検討では、ファーストラインとしての使用が一般的ではないanakinraの投与例を除外したファーストライン治療例2281例とセカンドライン治療例1097例を解析対象とした。

 最長約12年に達する追跡期間中に、ファーストライン治療例の48%、セカンドライン治療例の49%で、生物学的製剤の中止あるいは変更が行われていた。年間中止率は、ファーストライン治療例が17%(95%信頼区間[CI]:16-18)、セカンドライン治療例が20%(95%CI:18-22)だった。抗TNF薬別に年間中止率を見ると、エタネルセプトがそれぞれ15%、16%、インフリキシマブが19%、18%、アダリムマブが20%、26%であった。

 より多くの治療オプションが利用可能になった2005年以降に生物学的製剤による治療を開始した患者(ファーストライン治療例524例、セカンドライン治療例520例)に限定して年間中止率を見ると、ファーストライン治療例が25%(95%CI:22-29)、セカンドライン治療例が31%(95%CI:27-35)であり、近年は年間中止率が上昇していることがうかがわれた。

 また、抗TNF薬群と非抗TNF薬群に分けてファーストライン治療例とセカンドライン治療例の年間中止率を見ると、抗TNF薬群ではそれぞれ17%(95%CI:16-18)、19%(95%CI:17-21)であったのに対し、非抗TNF薬群では46%(95%CI:33-66)、38%(95%CI:30-50)と高率だった。

 抗TNF薬群の非抗TNF薬群に対する年間中止率のハザード比を背景因子で調整した上で求めたところ、ファーストライン治療例が0.60(95%CI:0.40-0.90)、セカンドライン治療例が0.81(95%CI:0.59-1.11)だった。すなわち、ファーストライン治療例では抗TNF薬群の継続率が有意に優れており、セカンドライン治療例でもその傾向は認められたものの有意差は認められなかった。また、2005年以降に生物学的製剤治療を開始した群で解析した結果でも、同様の傾向が認められた。

 以上からRamiro氏は、「抗TNF薬は非抗TNF薬と比べ、全体として継続率に優れていることが明らかとなった。また、抗TNF薬以外の生物学的製剤の登場によって選択肢が増えた2005年以降は、生物学的製剤の継続率が全体的に低下している」とまとめた。なお、過去の報告をひもとくと、セカンドライン治療例においては非抗TNF薬の方が継続率に優れるという報告は多いが、本検討ではセカンドライン治療例においても抗TNF薬と非抗TNF薬との間に有意差は認められなかった。

 また、「薬剤の継続率にはその治療の効果を反映するサロゲートマーカーとしての意味もあるのではないか」と、Ramiro氏は語る。つまり今回の結果は、抗TNF薬によるファーストライン治療に失敗した場合、必ずしも非抗TNF薬に切り替える必要はなく、他の抗TNF薬に切り替えるという選択肢もあり得ることを示唆するものと考えられる。

(日経メディカル別冊編集)