米国Brigham and Women's病院のBing Lu氏

 ソフトドリンクを頻回に飲む男性では、変形性膝関節症の発症・増悪リスクが上昇することが示された。変形性膝関節症の患者2100例超を4年間追跡した結果明らかになったもので、米国Brigham and Women's病院のBing Lu氏らが、11月10日から14日までワシントンDCで開催されている第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 変形性関節症は関節の痛みや変形、機能の喪失などを特徴として緩やかに進行する疾患で、高齢者の身体障害の主要な原因となる。重症化リスク因子としては、肥満、関節損傷、特定のスポーツなどが報告されている。

 一方、ソフトドリンクの消費量はここ数十年の間に世界中で劇的に増加しており、摂取と体重増加、2型糖尿病、心血管疾患や骨折・骨粗しょう症などとの関連が指摘されている。そのため今回Lu氏らは、変形性膝関節症の大規模患者コホート研究であるOAI(OsteoArthritis Initiative)のデータを使用し、変形性膝関節症患者においてソフトドリンクの消費量が疾患の進行に関与するかどうかを検討した。

 OAIでは、45〜79歳で変形性膝関節症と診断されたもしくは明らかな変形性膝関節症進展リスク因子を有する4796例を登録し、発症・進展を追跡した。

 ベースライン時に少なくとも1枚は膝内側のX線写真があり、食事記録があることを条件とし、Kellgren Lawrence(KL)分類(0-4)がグレード4(重度)であった例などは除外。最終的に2149例(3066膝)を年1回、4年間追跡した。

 ソフトドリンクについては、ベースラインでの食事摂取頻度調査票(Block Brief FFQ)をもとに、「過去12カ月に、ダイエット飲料を除き、どのくらいの頻度で飲んだか」を評価し、(1)週に1回も摂取しない摂取なし群(687例、63.9歳、男性29.40%)、(2)1回以下群(976例、62.7歳、男性77.36%)、(3)2〜4回群(285例、61.6歳、男性49.12%)、(4)5回以上群(201例、58.0歳、男性53.23%)に分類した。

 患者背景のうち平均BMIは、摂取なし群で29.3kg/m2、1回以下群で29.5kg/m2、2〜4回群で30.7kg/m2、5回以上群で31.3kg/m2。現在喫煙率は順に4.51%、5.43%、7.02%、16.42%だった。

 調査の結果、BMIが30.0kg/m2未満の男性では、清涼飲料摂取量が多いほど脛骨大腿関節腔幅(JSW)が有意に広がっていた(P<0.001)。しかし、女性とBMIが30.0kg/m2以上の男性では有意差は認められなかった。

 変形性膝関節症の増悪を示す関節裂隙狭小化(JSN)スコアの増加とソフトドリンク摂取量の関連について、年齢、体重変化、ベースラインのKL分類、総エネルギー摂取量などを共変数としてCox回帰分析を行い、調整ハザードリスクを算出した。

 その結果、男性のソフトドリンク飲用者では、BMIが30kg/m2未満で週2-4回摂取群ではわずかに有意差は認められなかったものの、摂取なし群に対して有意にJSNが増加していた。一方、女性ではその傾向は認められなかった。

 これらの結果からLu氏は、「ソフトドリンクの摂取量は、男性において変形膝関節症の独立した増悪因子だった」と結論し、「今後はソフトドリンクの影響について、生物学的メカニズムを解明するためさらなる研究が必要だ」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)