ドイツRuhr大学のDietmar Krause氏

 関節リウマチ(RA)患者がメトトレキサート(MTX)を長期間継続することにより、疾患活動性への効果とは独立に死亡率が低下することが示唆された。ドイツRuhr大学のDietmar Krause氏らが、11月10日からワシントンDCで開催中の第76回米国リウマチ学会(ACR2012)で発表した。

 RA治療のアンカードラッグ(中心的薬剤)であるMTXは、疾患活動性の改善が不十分だった場合、投薬が中止されることがある。しかしKrause氏らは、疾患活動性の改善についての理解が十分でないまま中止されている例もあると指摘する。

今回、同氏らは、欧州で初めて行われたMTX療法のコホート研究であるEvangelisches Fachkrankenhaus Ratingenのデータを分析し、登録から18年後までの転帰を検討した。

 対象は、1980年から1987年までにMTX療法を開始した250例(57.6歳、女性78.4%)とした。ベースラインから1年後までMTX療法を継続できなかった35例(62.7歳、女性85.7%)を除外し、MTXによって疾患活動性が20%以上改善した改善群(165例、56.2歳、女性81.2%)と20%未満だった非改善群(50例、58.7歳、女性64.0%)に分けた。代替治療がなかったため、ほぼすべての患者が、応答性にかかわらずMTXを継続した。

 患者背景は、リウマトイド因子(RF)陽性が改善群で86.6%、非改善群で94.0%。罹患期間が同じく8.3年、8.6年。過去の抗リウマチ薬(DMARDs)使用数が同1.7剤、2.1剤だった。

薬剤の内訳は、NSAIDs服用が改善群の95%、非改善群の98%、ステロイドがプレドニゾン換算で同4.5mg/日、4.1mg/日、MTXの初期投与量は同16.8mg、17.5mgだった。

患者評価による疾患活動性(0〜3)は、改善群で2.85、非改善群で2.76。赤血球沈降速度(ESR)は、改善群で55.3mm/時、非改善群で59.1mm/時だった。

 ベースラインの18年後である2003年時点での死亡は、改善群で49.7%(165例中82例)、非改善群で78.0%(50例中39例)、1年未満中断群で74.3%(35例中26例)で、全体では58.8%だった。標準化死亡比(SMR)は、それぞれ1.6(95%信頼区間[CI]:1.25-1.95)、3.2(95%CI:2.16-4.14)、3.4だった。改善群は非改善群に対し、有意に生存率が高かった(log-rank P=0.001)。

 10年目における生存者の64%はMTXを継続していた。年齢、性別、1年目におけるMTX療法への応答、10年目における腫脹関節数(0-32)、MTXの継続を共変量としてCox回帰分析を行ったところ、MTX継続は、ハザード比0.63(95%CI:0.44-0.89、P=0.009)と、死亡に対する独立なリスク低下因子だった。

 非改善群に限った分析では、MTX継続はハザード比0.41と低下傾向は認めたものの、有意差は得られなかった(95%CI:0.14-1.16)が、Krause氏は「23例と症例数が少なかったためではないか」と述べた。

 同氏は、「疾患活動性の改善・非改善にかかわらず、MTX療法を長期間継続した場合、死亡率は低下することが示唆された」と結論し、「この知見は、MTX療法に対する応答性が不十分だったRA患者における治療選択に影響する可能性がある」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)