慶應義塾大学の竹内勤氏

 インフリキシマブ(IFX)は、TNFαだけでなくIL-6の低下ももたらすことが報告されている。慶應義塾大学の竹内勤氏らは、この両者がIFXの臨床効果発現に果たす役割を探るべく、同氏らが日本国内で実施した関節リウマチ(RA)に対するIFXの増量試験「RISING」のpost-hoc解析を行った。その結果、TNFαとともにIL-6も抑制されているサブグループでは臨床効果が最も強く現れていることを見いだし、11月日までシカゴで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2001)で報告した。

 RISING試験は、IFXの増量投与の有効性と安全性を検証するために計画された無作為化比較試験である。RA患者307人に、通常のスケジュール(3mg/kgを0、2、6週に投与)でIFXを導入し、10週時の治療応答性に偏りがないように無作為化した上で、3mg/kg継続群、6mg/kg増量群、10mg/kg増量群の3群に割り付け、それぞれの用量のIFXを14週から46週まで8週間隔で投与した。

 54週目の有効性と安全性をエンドポイントとした主解析の結果は2009年に発表され、増量の有用性が確認されている。今回のpost-hoc解析では、IFX投与が血中IL-6濃度に及ぼす影響を調べるとともに、IL-6濃度と臨床効果、およびIL-6濃度とTNFα濃度のサロゲートマーカーとしてのIFX濃度の関連が検討された。

 IFX投与開始後の血中IL-6濃度は、どの用量群も10週目までに速やかに低下し(3mg/kg継続群:27pg/mLから2.8pg/mLへ、6mg/kg増量群:28pg/mLから3.4pg/mLへ、10mg/kg増量群:37pg/mLから3.2pg/mLへ)、その状態が54週まで保たれた。54週目の評価では、ベースライン時に比して87.2%(中央値)のIL-6濃度低下が認められた。

 54週目の疾患活動性、臨床症状の各種指標(DAS28-ESR、DAS28-CRP、SDAI、CDAI、腫脹関節数[TJC]、圧痛関節数[SJC]、CRP、ESR、患者による全般評価、患者による疼痛評価、医師による全般評価)と、54週目の血中IL-6濃度の間には、いずれも有意な正の相関が認められた(ρ=0.403-0.767、すべてP<0.0001)。また、これらの指標と血中IFX濃度の間には、有意な負の相関が認められた(ρ=−0.281〜−0.535、すべてP<0.0001)。

 ただし、血中IFX濃度とIL-6濃度の間にも有意な負の相関が認められた(ρ=−0.579、P<0.0001)ため、IFX濃度が保たれていること(すなわちTNFαの抑制)とIL-6濃度の低下が、どのように上記の臨床指標に寄与しているのかは、この結果からだけでは同定することができなかった。

 そこで竹内氏らは、54週目の疾患活動性と血中IFX濃度、血中IL-6濃度のデータが欠落なく揃った271人の患者を、IFX濃度とIL-6濃度の中央値をカットオフ値として、グループ1(IFX高値かつIL-6低値、134人)、グループ2(IFX高値かつIL-6高値、31人)、グループ3(IFX低値かつIL-6低値、48人)、グループ4(IFX低値かつIL-6高値、58人)の4群に分け、上記指標の値を比較した。

 その結果、54週目の種々の指標はおしなべてグループ1で最も良好、グループ4で最も悪く、グループ2と3はその中間という傾向が認められた(すべてP<0.0001)。

 また、DAS28-ESRやDAS28-CRP、SDAI、CDAIに基づき、寛解あるいは低疾患活動性と判定された患者の割合は、グループ1では8割程度だったのに対し、グループ4では2割前後にとどまった。

 以上のように、RA患者に対するIFX治療は、TNFαだけでなくIL-6も抑制することが確認された。また、TNFαとIL-6がともに抑制された患者で最も臨床効果が高かったことから、IFXの効果はTNFαとIL-6の双方が抑制されたとき最大となることが示唆された。

(日経メディカル別冊編集)