ドイツリウマチ研究センターのAnja Strangfeld氏

 ドイツリウマチ研究センターのAnja Strangfeld氏らは、同国の関節リウマチ(RA)患者の大規模登録研究「RABBIT」のデータをレトロスペクティブに解析し、疲労に対する生物学的製剤の作用を検討した結果、有意な改善効果が認められたことを明らかにした。研究成果は、11月9日までシカゴで開催された米国リウマチ学会(ACR2011)で報告した。

 RABBITは、生物学的製剤の長期的有効性と安全性を検討するため、ドイツリウマチ学会の主導で進められている。2001年以降に生物学的製剤による治療を開始したRA患者と、対照集団として生物学的製剤以外の抗リウマチ薬(DMARDs)のみで治療中のRA患者の、計9500人以上の治療情報と病状の推移を記録している。

 今回の検討では、少なくとも2剤のDMARD治療に失敗した後に生物学的製剤の投与を開始し、6カ月以上の追跡を実施した4371人と、DMARDsを継続して6カ月以上追跡し得た1059人の計5430人を対象として、治療前後の疲労の有無と疲労スコア(0[疲労なし]〜10[非常に強い疲労あり])の変化を調べた。

 使用した生物学的製剤は、TNF阻害薬が3186人(うち、エタネルセプト〔ETN〕1272人、インフリキシマブ〔IFX〕507人、アダリムマブ〔ADA〕1407人)、抗CD20抗体のリツキシマブ(RAに対しては日本では未承認)が783人、抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(TCZ)が222人、CTLA4-Ig融合蛋白のアバタセプトが180人だった。

 6カ月の治療後、全ての薬剤治療群で疲労スコアが低下した。ただし、低下の度合いは薬剤間で差異がみられ、TNF阻害薬群とトシリズマブ群での低下が著明だった。

 DMARDs群と比較した場合、6カ月後の疲労の消失についての調整済みオッズ比(OR)は、ETN群が1.7(95%信頼区間:1.3‐2.1)、IFX群が1.6(同:1.2‐2.2)、ADA群が1.4(同:1.1‐1.7)、TCZ群が1.6(同:1.0‐2.4)などであり、いずれもDMARDs群より有意に優っていた。

 同様に、6カ月間で3ポイント以上、疲労スコアの改善が得られるオッズ比は、ETN群が2.0(95%信頼区間:1.7‐2.5)、IFX群が1.7(同:1.3‐2.2)、ADA群が1.8(同:1.4‐2.2)、TCZ群が2.0(同:1.4‐2.9)で、いずれもDMARDs群より有意に優っていた。

 以上の結果から、生物学的製剤はDMARDsに比べて疲労の改善効果が優っており、特にTNF阻害薬とトシリズマブではその傾向が強いことが示唆された。

 Erlangen-Nuremberg大学のAndreas Hess氏らは、TNF阻害薬に中枢神経系の活動抑制を介した痛覚過敏の改善作用があることを、今年に入って報告している。TNF阻害薬各群の改善効果が優っていたことは、この報告とも一致する。Strangfeld氏らは、「疲労に対する改善効果についても中枢神経系への作用を介したものである可能性が高い」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)