米アーカンソー医科大学のNasim A. Khan氏

 世界的にみて、ACR/EULAR新寛解基準の達成率は6.5%と低いことが報告された。32カ国に及ぶでRA患者コホート研究により明らかになったもので、米アーカンソー医科大学のNasim A. Khan氏らが、11月9日までシカゴで開催された米リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 ギリシャ、米、オランダ、ロシア、エジプトなど、32カ国のリウマチ専門医らが参加している多国間RA患者コホート研究(Quantitative Standard Monitoring of Patients with RA;QUEST-RA)の目的は、ACR/EULAR新寛解基準による寛解患者数を調べ、さらに従来の定義に従った場合の寛解比率と比較することだった。また、ACR/EULAR新寛解基準が達成できない場合には、その寛解基準が達成できないことと独立に関係する非関節リウマチ疾患活動性因子を探索することも狙いの1つだった。

 QUEST-RAには、参加した32カ国のリウマチ専門医による診療を受けた患者情報が蓄積されている。今回は、このデータベースを用い、2005年1月から2010年6月までに登録された患者8488人について分析を行った。

 今回の検討では、ACR/EULAR新寛解基準は、圧痛関節数(TJC)≦1、腫脹関節数(SJC)≦1、患者による全般評価(PTGL)≦1のほか、赤血球沈降速度(ESR)が女性で<30mm/時、男性で<20mm/時――のすべてを満たすものとした。ESRは、各国で広く使われており、かつ測定法が均一であることから採用したという。

 従来の疾患活動性スコア28(DAS28)またはACR1981年寛解定義による寛解率については、同様に24カ国で行われすでに発表されている研究データを利用した。また、今回ACR/EULAR新寛解基準に用いた4つの指標のうち3つを満たした患者を「寛解に近い(near-remission)」グループとし、指標ごとの達成率も求めた。同時に、ACR/EULAR新寛解基準に達しないことに関連する因子探索のため、社会人口学的因子、RAの特徴、心理的苦痛の度合い、併存疾患による負荷を含めた多変量ロジスティック回帰(MLR)モデル分析を行った。

 その結果、ACR/EULAR新寛解基準を満たした患者は、全体で550人(6.5%)と少数であることが明らかになった。従来のDAS28では23.8%、ACR1981年寛解基準による寛解率は6.2%であったことから、今回の成績はDAS28よりは低く、1981年基準とは似通っている結果となった。

 一方、寛解に近い患者の場合は1052(12.4%)人で、ACR/EULAR新寛解基準を満たした患者の約2倍だった。

 これらの患者がACR/EULAR新寛解基準に達しない理由となった指標をみたところ、TJC(99人、9.4%)、SJC(101人、9.6%)、PTGL(719人、68.3%)、ESR(133人、12.6%)で、PTGLが突出して多いことが分かった。

 ACR/EULAR新寛解基準に達しないことに関連する因子を調べたところ、国内総生産(GDP)の低い国の住民、低い教育程度、長いRA罹患期間、併存疾患が多いこと、心理的苦痛が大きいことなどが寛解達成を低下させる傾向のある要因であることも示唆された。

 これらの結果から演者らは、「RA患者の大規模な多国間コホートでは、ACR/EULAR新寛解基準を満たす患者数は少なかった。」と結論。「また、疾患活動性に関わらないいくつかの変数が寛解を達成できないことに関係していることも分かったこれらがACR/EULARの定義を厳しいものにしているのではないか」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)