米Janssen Scientific AffairsのNeeta Tandon氏

 関節破壊が進行した関節リウマチ(RA)患者にとって関節置換術は、機能回復の有効性が高いものの侵襲を伴うことから最後の手段ともいうべき治療法だ。しかし、米国の患者データベースを基にした研究から、生物学的製剤の登場以後、RA患者に対する関節置換術の施行は年々減少していることが明らかになった。米Janssen Scientific AffairsのNeeta Tandon氏らが、11月9日までシカゴで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 米国でRA領域に生物学的製剤が初めて導入されたのは1998年のことだ。疾患活動性を強力に抑制するとともに関節破壊の進行を抑制する効果があり、一部の患者ではあるが破壊された関節が修復されたケースも報告されている。

 Tandon氏らは、米国のHealthcare Cost and Utilization Project(HCUP)の入院患者データベース(NIS)を利用し、生物学的製剤が上市される5年前の1993〜2008年の間に股関節全置換術(THR)または膝関節全置換術(TKR)を受けた患者のデータを抽出。Difference-in-difference分析(DID分析)の手法を用い、RAのためにTHRまたはTKRを受けた患者の推移と、RA以外の疾患のためにTHRまたはTKRを受けた患者の推移を比較し、生物学的製剤の登場がもたらしたインパクトを明らかにしようとした。

 調査期間中にTHRまたはTKRを受けた患者の総数は174万2935人、うちRAを有する患者は5万8036人だった。THRを受けた患者数は1993年の2万5987人/年から2008年には5万6478人/年と倍増し、この間にTKRを受けた患者数は3万8136人/年から、ほぼ3倍の12万5881人/年へと増加していた。

 原疾患名がRAではない患者でTHRまたはTKRを受けた患者数は、合併疾患としてRAを有するか否かにかかわらず、年を追うごとに増加していた。これに対し、原疾患がRAでTHRまたはTKRを受けた患者数は、1998年以降、徐々に減少していた。その結果、THR、TKRとも、かつては手術を受けた患者の半数以上がRAを原疾患名としていたが、現在では変形性関節症(OA)が過半数を占めるようになった。

 また、RAが原疾患、合併疾患のいずれの場合でも、RAの改善を目的としてTHRまたはTKRを受けた患者数は、生物学的製剤の登場以降、28%減少していた(P<0.01)。

 以上のように、米国では生物学的製剤の登場以降、RAのために関節置換術を受ける患者数が年々減少していることが明らかになった。Tandon氏は、「生物学的製剤の登場やその他の治療法の進歩は、RA患者と医療システムに長期的なメリットをもたらしているのではないか」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)