オーストラリアQueen Elizabeth病院のCatherine L. Hill氏(左)と共同演者のタスマニア大学のGraeme Jones氏(右)

 魚油には、変形性膝関節症の症状を改善する効果があることが確認された。変形性膝関節症の患者を対象に2年間にわたって行った多施設共同二重盲検無作為化試験の成果で、オーストラリアQueen Elizabeth病院のCatherine L. Hill氏らが、11月9日までシカゴで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 対象は40歳以上で、ACRの分類基準で変形性膝関節症と診断された通常の膝関節痛(NRS≧2)を認める患者。被験者は、抗炎症用量とされるEPA18%とDHA12%を含む高用量魚油(15mL/日)と、この魚油とsunola油を1対9の割合でブレンドした低用量魚油(15mL/日)を摂取する群に無作為に割り付けられた。それぞれの油は柑橘類で風味を整え、どちらが高用量魚油あるいは低用量魚油かは分からないようにした。無作為化する前の4週間は、魚油に不寛容の人を除外するため、同様の魚油を摂取してもらった。

 登録時の膝関節のX線写真は、国際変形性関節症学会(OARSI)のアトラスでスコア化した。主要評価項目は、登録時から3、6、12、24カ月時点のWOMAC疼痛スコアの変化とした。副次的評価項目は、WOMAC機能スコア、OMERACT-OARSI の効果判定基準の変化とした。得られた臨床試験データは、ITT法 (LOCF) により統計解析した。

 その結果、被験者は202人で49%が女性だった。登録時の平均年齢は60.9歳、平均BMIは29.0で、患者背景において両群に著しい違いは見られなかった。介入試験中、高容量群(101人)では34.6%が途中で試験を中止した。中央値は3カ月だった。中止例は、低用量群(101人)の19.8%(中央値7.5カ月)に比べ有意に多かった。

 摂取の効果については、WOMAC疼痛スコアとWOMAC機能スコアは、両群とも登録時に比べて有意に改善していた(P<0.003)。ただし、最初の1年間に違いはなかったが、24カ月後には低用量群の方が高容量群よりも、WOMAC疼痛スコアとWOMAC機能スコアの改善度合いが上回っていた。また、24カ月後には、OMERACT-OARSIの効果判定基準の変化は、低用量群において有意に良好であることも分かった(P=0.06)。

 これらの結果から演者らは、「低用量、高用量とも魚油の摂取は、変形性膝関節症の症状を改善した。ただし、2年目には低用量の方が高用量より有意な改善効果を示した」と結論した。また、途中で試験を中止した人の割合に差があったことが影響した可能性があるとしつつも、「低用量の方が、炎症レベルの低い変形性関節炎に適していることを示唆しているのかもしれない」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)