ドイツRheumazentrum RuhrgebietのXenofon Baraliakos氏

 TNFα阻害薬は活動性の強直性脊椎炎AS)の臨床症状や脊椎の炎症を改善するが、脊椎関節への影響については不明だった。ドイツRheumazentrum RuhrgebietのXenofon Baraliakos氏らは、インフリキシマブIFX)を長期投与したAS患者の転帰をTNFα阻害薬による治療歴のない患者と比較し、IFXの長期使用により、脊椎強直が抑制される可能性があることを明らかにした。研究結果は、11月5日から9日までシカゴで開催中の米国リウマチ学会(ACR2011)で報告された。

 対象はIFX群22人と、対照群としてレトロスペクティブに集めたTNFα阻害薬の投与歴のないAS患者34人。ベースラインと8年後の頸椎・腰椎の側面X線所見を比較した。X線像の評価は2人の読影者が盲検下で行い、脊椎強直の程度をmSASSS(modified Stoke AS Spine Score)を用いてスコア化した。

 ベースラインにおける両群の患者背景を比較すると、mSASSSはIFX群13.2、対照群14.2、靭帯骨棘形成数はそれぞれ3.6、3.7と、ほぼ同じだった。しかし、IFX群では対照群に比べて、疾患活動性の指標であるBASDAIが高く(6.2 対 4.3、P=0.000)、身体機能の指標であるBASFIも高値だった(5.3 対 3.4、P=0.000)。また、対照群は高齢で、罹病期間が長く、HLA-B27陽性例が少なかった。

 8年後、両群ともmSASSSが有意に増加し、IFX群では20.2、対照群では25.9になった(ともにP<0.001)。最初の4年間のmSASSSの変化は両群でほぼ同様だったが、4年目から8年目までのmSASSSの増加量は、IFX群では2.9、対照群では7.4となり、ベースラインのmSASSS、最初の4年間のmSASSS変化量で補正すると、前者で有意に小さかった(P=0.029)。しかし、ベースラインの年齢、罹病期間、HLA-B27陽性/陰性等で補正すると、mSASSS変化量に有意な差は認められなかった。

 また、8年後に新規に認められた靭帯骨棘形成数は、ベースラインで靭帯骨棘形成が認められなかった患者ではIFX群で0.8、対照群では2.6で有意差はなかった(P=0.36)が、ベースラインで靭帯骨棘形成を認めた患者では、IFX群1.3、対照群3.3と前者で有意に少なかった(P=0.032)。

 Baraliakos氏は、本研究は対象例が少なく、レトロスペクティブな対照群との比較という限界があると指摘した上で、「IFXは脊椎強直や靭帯骨棘の形成を抑制する可能性がある」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)