米タフツ大学医療センターのJeffrey B.Driban氏

 様々なスポーツの中で、膝骨関節炎の発症リスクを高めるスポーツは、サッカーレスリングなど、膝に強い負荷のかかる一部のスポーツに限られることが示された。11月5日から9日までシカゴで開催された米国リウマチ学会(ACR2011)で、米タフツ大学医療センターのJeffrey B.Driban氏らが発表した。

 「膝骨関節炎のリスクについて調べたこれまでの研究は、スポーツの種類やレベルなどを区別せずに検討したものが多いため、レクリエーションスポーツを行う一般の人々に対するリスクの説明が難しかった」(Driban氏)。そこで、膝骨関節炎のリスクを高めるスポーツが何かを特定するために研究を行った。

 2011年3月に、PubMedやOVIDなどの6つのデータベースによる自動文献検索、およびジャーナルのマニュアル検索などによって得られた約1万5000の論文の中から本研究の基準を満たす16の研究を抽出。主に10のコホート研究を中心に、計3192人のスポーツ参加者について分析、検討を行った。

 その結果、全スポーツ参加者の膝骨関節炎の発症率は8.4%で、何もスポーツを行わない集団(NE群、3285人)の9.1%に比べやや低かった(相対リスク〔RR〕:0.9、95%信頼区間:0.8‐1.1)。

 しかし、スポーツの種類ごとに対NE群のリスクを算出したところ、長距離走(RR:3.2、95%信頼区間:1.40-7.11)、サッカー(RR:4.4、95%信頼区間:3.07-6.24)、ウエイトリフティング(RR:6.4、95%信頼区間:3.16-12.85)、レスリング(RR:3.7、95%信頼区間:1.78-7.49)の4つのスポーツで統計的に有意にリスクが高いことが分かった。

 サッカーに関するデータの分析では、膝損傷の既往がない場合でも膝骨関節炎発症率がNE群に比べて高いことも示された(エリート選手で10.7%、非エリート選手で2.7%、NE群1.3%)。

 Driban氏は、「膝骨関節炎の発症リスクを高めるスポーツは、特定のスポーツに限られることが示された。レクリエーションレベルで行う多くのスポーツには同リスクを高める心配はないだろう。少しでも膝骨関節炎のリスクを軽減したいならば、膝に負担のかかりにくく膝傷害のリスクが少ない、また他者との接触のないスポーツを選ぶとよいだろう。水泳、ダブルテニス、サイクリングなどは適した運動だ」とまとめた。

 リスクを高めるサッカーやレスリングなどのスポーツ参加者へのアドバイスとしては、「膝の外傷をできるだけ予防するよう心がけることと、肥満などのそれ以外のリスクファクターを増やさないことが大切だ。エリート選手は引退すると体重が増加しやすいので、その後の生活管理が重要となる」と話した。

(日経メディカル別冊編集)