デンマークNordic BioscienceのMorten Asser Karsdal氏

 変形性関節炎の患者に対し、5‐クロロサリチロイル(CNAC)キャリアを使ってサケカルシトニンを経口投与すると、2年後には、痛みや機能などが有意に改善することが分かった。また、内側膝関節関節裂隙の減少予防には効果が認められなかったものの、軟骨容積の減少予防効果は認められた。デンマークNordic BioscienceのMorten Asser Karsdal氏らが、約1200人の変形性関節炎の患者を対象に行った第III相の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の成果で、11月5日から9日までシカゴで開催された米国リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 研究グループは、米国リウマチ学会(ACR)基準による痛みを伴う変形性関節炎で、病理学的構造変化が見られる50〜80歳の1169人を対象に、ヨーロッパなど6カ国、9カ所の医療施設を通じて試験を行った。被験者の内側膝関節の関節裂隙は2.0mm以上、WOMAC (Western Ontario McMaster Osteoarthritis index)の疼痛スケールは150mm以上、またはWOMAC機能スケールは510mm以上だった。被験者の平均年齢は約64歳、男性が約3割を占めた。

 被験者は無作為に2群に分けられ、一方には経口サケカルシトニン0.8mgを1日2回、もう一方にはプラセボを投与し、2年間追跡した。

 主評価項目は、内側膝関節の関節裂隙、WOMAC疼痛スケール、WOMAC機能スケールの、それぞれの変化だった。副次的評価項目は、WOMAC硬直性スケール、24時間の疼痛に関する視覚的アナログスケール、疾患活動性に関する包括的評価などだった。

 その結果、24カ月後の内側膝関節の関節裂隙の変化は、両群ともに−0.2mmと、有意差は認められなかった。ただし、MRIにより軟骨容積について調べたところ、プラセボ群が−7.0%だったのに対し、カルシトニン群は−4.5%と、消失率は有意に少なかった(P=0.006)。

 WOMAC疼痛スケールの変化は、プラセボ群が−94.9mmに対し、カルシトニン群は−115.7mmと、より良好だった(P=0.0021)。WOMAC機能スケールの変化もまた、プラセボ群が−283.0mmに対し、カルシトニン群は−338.7mm(P=0.013)、WOMAC硬直性スケールの変化はプラセボ群が−32.6mmに対し、カルシトニン群は−44.1mm(P<0.001)と、いずれもカルシトニン群で良好だった。

 24カ月後の疾患活動性に関する包括的評価においても、医師による評価、患者自身による評価ともに、カルシトニン群がプラセボ群より有意に良好だった(それぞれP=0.014、P=0.0080)。24時間の疼痛に関する視覚的アナログスケールでもまた、経口カルシトニン群がプラセボ群より有意に良好だった(P=0.0180)。

 一方、有害事象について比較したところ、重篤な有害事象発生率はカルシトニン群が17.1%に対しプラセボ群が15.1%、有害事象によって服用を中止したのは、それぞれ19.5%と5.8%だった。

 会場からは、「WOMACスコアの改善幅について、臨床的にはどのような意味があるか」との問いに対し、「その指摘を有り難く受け止めて、今後データを注意深く分析してみたいと思う」と回答した。

(日経メディカル別冊編集)

■訂正
・11/11に以下の訂正をしました。
 文中に「内側慶大退関節」とあるのは「内側膝関節」の間違いでした。お詫びして訂正します。また、4段落目と6段落目に出てくる「WOMAC剛直性スケール」は「WOMAC硬直性スケール」に、冒頭にある「5‐クロロサリチロイル(CNC)を含むサケカルシトニン」は「5‐クロロサリチロイル(CNAC)キャリアを使ってサケカルシトニン」に、2段落目の「50〜80歳の女性1169人」は「50〜80歳の1169人」に、それぞれ訂正しました。