米カリフォルニア大学サンディエゴ校のPim Jetanalin氏

 近年の臨床試験の結果から、関節リウマチRA)では早期から生物学的製剤を使用すれば、臨床症状を改善し、X線上の関節破壊の進行を抑制し、身体機能障害の程度を軽減しうることが分かっている。今回、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のPim Jetanalin氏らは、RA患者の大規模レジストリのデータを基に、RAの実臨床においてもTNF阻害薬が年が経つにつれ早期から使用されるようになってきたことを明らかにした。研究の成果は、11月5日からシカゴで開催中の米国リウマチ学会(ACR2011)で報告した。

 同氏らが解析に用いたConsortium of Rheumatology Researchers of North America(CORRONA)レジストリは、北米の133施設が参加する大規模患者レジストリで、2011年1月現在、2万7412人のRA患者が登録されている。そのうち生物学的製剤を使用中の患者は7406人、TNF阻害薬を使用中の患者は5966人となっている。

 研究グループはCORRONAレジストリ登録者を、TNF阻害薬の使用を開始した群(開始群)と開始しなかった群(非開始群)に分け、さらに開始群をほぼ等分になるように、2000〜05年開始群、2006〜08年開始群、2009〜11年開始群の3群に分け、RA罹病期間、疾患活動性、抗リウマチ薬(DMARDs)使用状況などを比較検討した。

 解析の結果、登録時にTNF阻害薬の使用経験がなかった1万5270人のうち、3031人がその後TNF阻害薬の使用を開始していた。登録時の背景を比較すると、非開始群に比べて開始群はより若く(60.1歳 対 56.7歳、P<0.0001)、罹病期間が長かった(7.6年 対 8.5年、P<0.0001)。また、疾患活動性の指標であるDAS28(3.60 対 3.72、P=0.0137)、CDAI(12.8 対 15.9、P<0.0001)が高く、機能障害の指標であるmHAQスコアも高かった(0.33 対 0.43、P<0.0001)。

 2000〜05年開始群、2006〜08年開始群、2009〜11年開始群のTNF阻害薬開始時の背景を比較すると、後年になるほどRA罹病期間は短くなり(9.9年 対 8.5年 対 6.9年)、TNF阻害薬開始前のDMARDs使用数も減少した(1.7 対 1.6 対 1.3)。さらに、2000〜05年開始群に比べて2009〜11年開始群では、CDAI(17.1 対 15.5、P=0.011)、医師評価による疾患活動性のVASスコア(29.0 対 26.1、P=0.004)、腫脹関節数(6.1 対 4.5、P<0.0001)が有意に低かった。また、登録例全体に占めるTNF阻害薬の使用率は2000年の約30%から2004年の約45%へ上昇し、その後は40%程度で安定していた。

 以上の検討からJetanalin氏は、「RAの実臨床においてもTNF阻害薬の使用率は約4割と高いことが示された。特に近年では、従来のステップアップ療法ではなく、罹病早期からTNF阻害薬が開始されるようになったと考えられる」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)