スウェーデンLund大学のMeliha C. Kapetanovic氏

 リウマチ性関節炎脊椎関節症抗リウマチ薬などを服用する人は、肺炎球菌ワクチン接種後、抗体価の減少速度が速く、1.5年後に感染防御に有効な抗体価を保有している人の割合は2〜7割に留まることが分かった。中でも、リウマチ性関節炎でメトトレキサートTNF阻害薬を服用する人は2〜3割と低かった。スウェーデンLund大学のMeliha C. Kapetanovic氏らが、リウマチ性関節炎と脊椎関節症の患者500人について行った研究で明らかにしたもので、11月5日から9日までシカゴで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2011)で発表、「関節炎の患者に対しては、健康な人よりも、より高頻度の接種が必要だ」と指摘した。

 演者らは、リウマチ性関節炎と脊椎関節症で、抗リウマチ薬などを服用する505人に対し、7価肺炎球菌ワクチンを接種した。そのうち、血清サンプルが入手できた398人(79%)で、当初服用していた抗炎症薬に変更のなかった302人(リウマチ性関節炎163人、脊椎関節症139人)について、ワクチン接種の4〜6週間と1.5年後の血清型23Fと6Bの抗体価について免疫酵素測定法で測定した。感染防御に有効な抗体価については、これまでの研究結果から1mg/L以上とした。

 リウマチ性関節炎の患者の服用薬は、メトトレキサート(MTX)のみ、TNF阻害薬のみ、MTXとTNF阻害薬の併用の3群だった。脊椎関節症の患者の服用薬は、TNF阻害薬のみ、MTXとTNF阻害薬の併用、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)または鎮痛剤の3群だった。

 ワクチン接種4〜6週間後に、血清型23Fと6Bが共に1mg/L以上だったのは、脊椎関節症・NSAID群で84.9%と最も高率で、次いで脊椎関節症・TNF群が77.1%、脊椎関節症・MTX+TNF群が65.1%、リウマチ性関節炎・MTX群が63.5%、リウマチ性関節炎・TNF群が59.5%、最も低率だったのはリウマチ性関節炎・MTX+TNF群の53.9%だった。

 ワクチン接種1.5年後に、血清型23Fと6Bが共に1mg/L以上だったのは、脊椎関節症・NSAID群が69.0%、次いで脊椎関節症・TNF群が59.6%、脊椎関節症・MTX+TNF群が49.0%、リウマチ性関節炎・MTX群が40.6%、リウマチ性関節炎・TNF群が32.0%、最も低率だったのはリウマチ性関節炎・MTX+TNF群の20.0%だった。

 ワクチン接種4〜6週間後から1.5年後にかけて、同割合の減少率はリウマチ性関節炎・MTX+TNF群で最も大きく、0.37倍に減少した。次いで、リウマチ性関節炎・TNF群では、同期間に0.54倍に減少、最も減少率が小さかったのは脊椎関節症・NSAID群で0.81倍だった。

 血清型23Fと6Bの幾何平均値についても、接種後4〜6週間後から同1.5年後にかけて、両者ともにどの群でも有意な減少が認められた(P<0.001からP=0.035、ペアT検定)。

 リウマチ性関節炎の人について見てみると、メトトレキサートの服用が、ワクチン接種後の感染防御に有効な抗体価を維持しないことのリスク因子だった。脊椎関節症については、年齢が高いことがリスク因子だった。

 また、被験者全体で、接種後1.5年後に感染防御に有効な抗体価を維持しなかった人は、維持した人に比べ、より高齢で、診断を受けてからの期間が長かった。

 会場からは、「肺炎発症率について、各群を比較したデータはあるか」との質問があり、Kapetanovic氏は、「発症者のデータはあるものの、試験期間が短いために、何も結論を出すことはできない」などと回答した。

(日経メディカル別冊編集)