ノルウェーDiakonhjemmet病院のAnne Grete Semb氏

 無症候性頸動脈プラークのある関節リウマチRA)患者は、脂質を標的とした十分な心血管(CV)予防療法を受けていない――。ノルウェーDiakonhjemmet病院のAnne Grete Semb氏らが、RA患者とCV疾患既往のない対照者とを比較検討し明らかにしたもの。成果は、11月5日からシカゴで開催中の米国リウマチ学会(ACR2011)で発表された。

 関節リウマチ患者では、無症候性頸動脈プラークの有病率が一般の集団に比べて2〜3倍高いとされる。無症候性頸動脈プラークはCV疾患と同等と考えられることから、強力な脂質降下療法を含む二次的予防療法を受ける必要がある。しかし、頸動脈超音波検査は一般的ではなく、無症候性頸動脈プラークをCVリスク(SCOREリスク)の評価の際に考慮することはほとんどないという。このため、無症候性頸動脈プラークのあるRA患者は、二次的予防療法ではなく、全く治療されないか一次予防療法とされてしまう危険性が高い。このような判断から演者らは、無症候性頸動脈プラークが存在するRA患者において誤った予防療法を選択するリスクについて検討を行った。

 対象は、86人のRA患者と56人のCV疾患の既往のない対照被験者。両群の対象者に対して頸動脈B-モード超音波検査を行い、無症候性頸動脈プラークの有無を確認した。その上で、無症候性頸動脈プラークがある患者とない患者の両方で、SCOREリスク(10年間心血管疾患の死亡リスク)が<5%あるいは≧5%の場合に分け、治療法の誤選択リスクを算出した。

 その結果、RA患者と対照被験者との間で年齢(57.3歳 対 56.7歳)については差がなかったが、RA患者群でわずかに女性が多かった(79% 対 63%、P=0.05)。脂質などのCVリスク因子の有無については両群で著しい差はなかったが、RA患者群では対照群よりも、有意に無症候性頸動脈プラークを有していた(45.2% 対 26.8%、P=0.03)。

 注目した予防療法との関係をみると、RA群では75人が一次的予防療法の必要がないSCORE<5%であった。しかしながら、これらの患者のうち30人(40.0%)は無症候性頸動脈プラークを有しており、強力な脂質降下療法を含む予防療法を必要としていた。また、RA群の中の11人はSCORE≧5%で一次予防法が必要とされていたが、そのうちの9人(81.8%)は無症候性頸動脈プラークを有しており、二次予防療法が必要な患者であった。

 なお、対照群において、強力な脂質降下療法の必要がないSCORE<5%だった49人のうち、10人(20.4%)は無症候性頸動脈プラークを有しており、二次予防療法に分類されるべきであった。一方で、SCORE≧5%である対照群の7人のうち5人(71.4%)は無症候性頸動脈プラークを有しており、一次予防療法ではなくもっと強力な二次予防療法にするべきであった。

 これらの結果、RA患者における予防療法の誤選択リスクは、SCORE<5%で40.0%、SCORE≧5%で81.8%と高率であることが分かった。

 Anne Grete Semb氏は、「無症候性頸動脈プラークがあるRA患者には、強力な脂質降下療法を含む予防療法を受けさせる必要がある。特に、SCORE≧5%の場合は無症候性頸動脈プラークを有する危険性が高い」と結論。より大規模な試験によって今回の結果を確認する必要があるとしつつも、「SCORE≧5%で、頸動脈超音波検査をCVリスクの評価に使えない場合は、一次ではなくより強力な二次予防療法が推奨される」と提言した。

(日経メディカル別冊編集)