英Darent Valley HospitalのYasser M. El Miedany氏

 炎症性関節炎の患者が、診察時に症状に関する質問票(PROM)を記入するだけでなく、それ以前の診察時に記入した質問票を見て、その変化について理解し、医師と話し合う機会を得ることで、1年後の服薬の順守率や、症状の活動性、生活の質(QOL)などがいずれも有意に改善することが分かった。加えて、医師への信頼や、将来への不安、病気に対する日々の対処法といった面でも、有意な効果が認められた。

 これは、英Darent Valley HospitalのYasser M. El Miedany氏らが、米国リウマチ学会基準で炎症性関節炎の診断を受けた127人について行った二重盲検無作為化試験の成果で、11月5日からシカゴで開催中の米国リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 同研究グループは、1年間にわたり被験者を3カ月ごとに診察し、その都度、患者は自分の関節炎の状態について、PROM質問票に回答した。被験者は全員が、抗リウマチ薬(DMARDs)と生物学的製剤による治療を受けていた。

 被験者は、6カ月後に無作為に2群に分けられた。一方の群(介入群、64人)は、次の診察時に、自分で記入したそれ以前のPROMの結果を見ることができ、記録を元に関節炎の症状や身体障害、生活の質(QOL)の変化について、医師と話し合うことも可能だった。もう一方の対照群(63人)では、PROMへの記入はするものの、それ以前のPROMの閲覧はできず、診察時の症状に応じた治療を受けた。

 主要アウトカムは、患者の薬の服用遵守率と、関節リウマチ活動性評価スコアDAS28、PROM評価項目の変化だった。

 その結果、12カ月後の薬の服用順守率、DAS28とPROM評価項目のいずれにおいても、介入群が対照群に比べ、有意にアウトカムが良好だった。

 具体的には、薬の服用順守率は介入群が90.6%に対し、対照群は68.3%だった(P<0.01)。薬の副作用に耐えられず患者が服用を中止したのは、介入群が4.9%に対し対照群は19.0%と、有意に高率だった(P<0.01)。症状の増悪による診察回数増もまた、介入群が8回(12.5%)だったのに対し、対照群は21回(33.3%)と有意に多かった。

 関節炎の症状については、試験開始後3カ月、6カ月時点では両群に有意差はなかったものの、12カ月後には、DAS28、疼痛スコア、医師による全般的評価、機能障害、QOLの全てにおいて、介入群が対照群よりアウトカムが有意に良好だった。試験開始後12カ月時点でのDAS28は、介入群が1.79に対し対照群が1.23、疼痛スコアはそれぞれ4.48と3.39、QOLはそれぞれ1.77と1.30だった(いずれもP<0.001)。

 さらに、12カ月間の診察・治療に対する感想として、治療への理解、薬の服用、医師への信頼、将来への不安、病気に対する対処、といったそれぞれの問いに対しても、介入群が対照群に比べ、全ての項目で有意に良好な回答が得られた(いずれもP<0.001)。

 El Miedany氏は、「患者がPROMの経過を見ることで、自分の病気がどのような経過をたどっているのかを理解することができ、そのことが薬の服用遵守などの治療の最適化への努力を助けている」と考察した。

 会場からは、PROMに要する患者やスタッフの時間について質問があり、El Miedany氏は「患者がPROMに記入するのに要する時間は8分、医師または看護師がそれをスコア化するのにかかる時間は30〜60秒だ」と回答、短時間で済むことを強調した。

(日経メディカル別冊編集)