米Geisinger Medical CenterのChad P.Walker氏

 関節リウマチ患者において、スタチン服用と冠動脈疾患CAD)の発生について調べたところ、スタチン服用によりCADの発生リスクを月に4%減少させることが分かった。11月5日からシカゴで開幕中の米国リウマチ学会(ACR2011)で、米Geisinger Medical CenterのChad P.Walker氏らが発表した。

 スタチンは、一般の対象者においてCADの発生リスクを下げるとされるが、関節リウマチの患者についても同様の効果があるかを調べた研究は少ない。そこで、関節リウマチ患者のコホートを用い、スタチン服用とCAD発生の関連について検討した。

 電子健康記録(EHR)より2001年1月1日から2009年12月31日までに新たに関節リウマチと診断された1881人のうち、心血管疾患の既往がある人などを除外した550人について検討した。

 主要評価項目はCADの発生とし、副次評価項目は心血管系疾患の発生とした。

 観察期間中にCADを発生したのは39人で、14人がスタチンを服用しており、25人は使用していなかった。スタチン服用期間の中央値は17.3カ月だった。

 スタチンを服用していてCADを発生した14人のうち、17カ月以下の服用者が7人、17カ月超の服用者が7人だった。

 対象者全体をスタチン服用なし(432人)、17カ月以下の服用者(58人)、17カ月超の服用者(60人)の3つのグループに分類して患者特性を比較したところ、生活習慣病の罹患率に関して各グループ間で有意差が見られ、高血圧、脂質異常、糖尿病、肥満の割合がいずれも17カ月超のグループで最も高く、スタチン服用なしのグループでは最も低かった(Wilcoxon’test、いずれもP<0.001)。

 そこで年齢、性別、人種、高血圧、脂質異常、糖尿病、BMI、LDL、血圧、リウマチ因子、血沈、リウマチ治療薬で補正後、Cox回帰モデルを用いてスタチン服用とCADの関連を分析した。その結果、スタチンを継続的に服用した場合のCAD発生のハザードリスクは0.96(95%信頼区間:0.94−0.99)となった。17カ月超の服用では、ハザードリスクは0.30(95%信頼区間:0.10−0.94、対スタチン服用なし)だった。

 副次評価項目として心血管系疾患についても解析を行ったところ、同様の傾向が見られたが統計的に有意ではなかった。

 Walker氏は、「スタチン服用により関節リウマチ患者のCAD発生リスクが月4%低下し、特に17カ月超のスタチン服用では同リスクが70%も減少することが示された」と結論。その上で、「心血管系疾患のリスクが高いとされる関節リウマチ患者においてスタチンのCAD予防効果が示されたことは意義深いと言えるだろう」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)