米Texas大学M.D Anderson Cancer CenterのChristian A.Waimann氏

 不安などのマイナスの心理社会的要因人工膝関節置換術TKR)後のアウトカムに影響を及ぼすとされるが、TKRに関連するコストにも影響を及ぼすことが分かった。11月5日にシカゴで開幕した米国リウマチ学会(ACR2011)で、米Texas大学M.D Anderson Cancer CenterのChristian A.Waimann氏らが発表した。

 TKRを実施した膝骨関節炎の患者218人を対象とし、術後6カ月間に及ぶ前向き研究を実施。TKRに関連したコストや社会的地位などの状況、心理社会的要因について調べた。

 心理社会的評価は、不安やストレスに関する評価(DASS)、関節炎自己効力評価(ASES)、社会心理的なサポートの充足感(MOS-SSS)、人生に対する楽観度(LOT-R)などで実施した。

 コストについては、手術に伴う入院費、薬代などの直接的医療費のほか、患者や家族の時間の損失(労働生産性の損失)などを集約した。これらを用いて2変量解析、およびステップワイズ法による重回帰分析を行い、心理社会的要因がTKRに関わるコストにどのような影響を及ぼすかを検討した。

 対象者の平均年齢は65.1歳で、女性の割合が66%、退職者は47%だった。WOMAC疼痛スコアの平均は54.1、WOMAC機能スコアの平均は53.3だった。

 TKRに関連する6カ月間の総コストは、2万4400USドル(2万1900〜2万6500USドル)で、そのうちの約50%が手術に関連した入院費用で、25%は「患者の時間の損失」に関する費用だった。総コストの大きさに最も影響を及ぼす変数は、「患者の時間の損失」だった。

 次に心理社会的要因と総コストについて検討したところ、ステップワイズ法による重回帰分析では、不安が強いほど、心理社会的サポートの充足度が低いほど、TKR関連のコストが高かった(いずれもP<0.01)。それ以外では、BMIが高いほど、白人でないほど、同様にコストが高かった(いずれもP<0.01)。

 Waimann氏は、「心理社会的要因が、TKR後の総コストに影響を及ぼすことが示された。周術期の心理社会的介入によって患者の不安を軽減し、心理的サポートを向上させることでTKR後の総コストを軽減することが可能になるかもしれない」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)