英Oxford大学のDaniel Prieto-Alhambra氏

 閉経後女性で、変形関節炎がある人は、ない人に比べ、骨折リスクは20%、転倒リスクは25%、それぞれ増加することが、6万人超を対象に行った大規模コホート研究(GLOW研究)で明らかになった。英Oxford大学のDaniel Prieto-Alhambra氏らが、11月5日からシカゴで開催中の米国リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 これまでの研究から、変形関節炎の人は骨質量が多いことは知られているが、一方でそれに伴う骨折リスクの減少は認められていなかった。

 GLOW(The Global Longitudinal Study of Osteoporosis in Women)研究では、欧州7カ国、米国7カ所、カナダとオーストラリアそれぞれ1カ所の医療機関で取り組まれている。各地域在住の55歳以上の女性で、過去2年間に診察を受けた人を対象に試験を行った。被験者総数は6万393人で、うち65歳以上が3分の2を占めた。

 被験者は、試験開始時点と、その後3年間にわたり毎年、郵送による質問票に回答した。変形関節炎の有無については、試験開始時点で、「これまでに、医師などから、変形関節炎または退行性関節疾患があると言われたことがあるか」という質問で確認した。また追跡中には、過去12カ月間の転倒回数、骨粗鬆症のリスク因子、薬の服用や骨折の有無、病気の診断名などについて調査した。

 なお、試験開始時点で、変形関節炎の有無が不明だったり、セリアック病やリウマチ性関節炎のある人は除外した。

 主要アウトカムは、骨折の部位と日時で、第2アウトカムは転倒回数だった。

 被験者のうち追跡できたのは5万1386人で、そのうち変形関節炎があると回答した人は、39.7%にあたる2万409人だった。追跡期間の中央値は1072日だった。

 カプラン・マイヤー法で、累積骨折率について求めたところ、変形関節炎のある人の方が、ない人に比べ、3年間までの同骨折率が有意に高い傾向が認められた(P<0.001)。

 コックス多変量モデルで分析の結果、変形関節炎のある人の、ない人に対する骨折に関する補正後ハザード比は、1.21(95%信頼区間:1.13〜1.39、P<0.001)だった。

 骨折部位について見てみると、有意差が認められたのは臨床的脊椎骨折が同ハザード比1.27、手首・前腕骨折が同ハザード比1.24だった。

 転倒についてもまた、変形関節炎のある人の、ない人に対する補正後ハザード比は、1.24(同:1.22〜1.26、P<0.001)だった。

 転倒回数で補正後も、変形関節炎は骨折の独立リスク因子だったが、同研究グループは、変形関節炎による骨折の多くは転倒によるものなので、患者指導の中で転倒予防が重要だとした。

 会場からの、転倒原因に関する質問に対し、Prieto-Alhambra氏は、「転倒の原因は、変形関節炎による痛みや筋力低下によると思う」と回答した。

(日経メディカル別冊編集)

■訂正
・11/14に以下の訂正を行いました。
 8段落目に「同骨折率が有意に低い傾向が認められた」とあるのは「同骨折率が有意に高い傾向が認められた」の間違いでした。お詫びして訂正します。また、10段落目にある「頸椎骨折」は「臨床的脊椎骨折」と改めました。