共同演者の田中榮一氏

 ACR/EULAR新寛解基準を維持し続けると、日常のより良好な機能的アウトカムをもたらすことが示された。東京女子医大膠原病リウマチ痛風センターが取り組んでいるIORRAコホート研究の一環で明らかになったもので、同センターの設楽久美氏らが、11月5日、シカゴで開幕した米国リウマチ学会(ACR2011)で発表した。

 演者らは、昨年提唱されたACR/EULAR新寛解基準について、その臨床的な意義を明らかにするための検討を行った。

 同センターは、2000年10月からRA患者の前向き観察研究であるIORRAコホートに取り組んでいる。今回の検討は、ベースライン(2008年4月時点)でDAS28寛解であったRA患者で、2008年4月から2010年10月までの6カ月ごとに、医師による評価と患者による評価および検査データの収集をすべて完了した患者(6回のデータ収集)を対象とした。

 すべての対象患者において、毎回のデータ収集時にACR/EULAR新寛解基準またはDAS28寛解基準に達したかどうかを評価した。その上で、機能障害をJ-HAQによって評価した。ACR/EULAR寛解基準としては、Boolean trial、Boolean practice、SDAI、CDAIを用いた。臨床的なアウトカムの評価は、観察期間中にJ-HAQスコアが進行した患者の割合を算出することで行った。

 ベースラインでDAS28基準の寛解であったRA患者は915人だった。背景は、女性76.3%、平均年齢57.6歳、平均RA罹患期間11.7年(平均DAS28:2.0、J-HAQ:0.32)で、3年間のすべてのデータ収集を完了した。

 解析の結果、6回のデータ収集時すべてで、Boolean trial、Boolean practice、SDAI、CDAIおよびDAS28によって定義される寛解に継続的に達した患者のうち、観察期間中にJ-HAQが進行した患者の割合は、それぞれ、6.2%(10/161)、8.5%(21/247)、5.7%(10/175)、7.1%(16/227)、および14.2%(45/318)だった。ACR/EULAR新寛解基準とDAS28寛解基準の比較では、ACR/EULAR基準の方がより良好な機能的アウトカムをもたらしていた。

 その一方で、3年間の観察期間中継続的に寛解基準を満たさなかった患者の間では、J-HAQが進行した患者の割合が高いことも分かった。3年間の6回のデータ収集のうち1度しかBoolean trial、Boolean practice、SDAI、CDAIおよびDAS28の寛解基準を満たさなかった患者では、J-HAQの進行がみられた患者の割合は、それぞれ30.8%、47.4%、31.7%、47.1%および57.1%とそれぞれ高率だった。このことは、RA罹患期間が長い患者よりも短い患者で顕著であることも明らかになった。

 これらの結果をもとに演者らは、「ACR/EULARによる新しい寛解の定義はDAS28寛解の定義に比べて、日常においてより良好な機能的アウトカムをもたらす」と結論した。その上で、「J-HAQによって評価した障害の進行を防ぐために、より長期にわたって寛解を維持することが、どの寛解基準を用いた場合でも重要である」と指摘。このことは初期段階にある患者でより重要であることから、「疾患の初期段階で寛解に導き、それを維持することがRA患者においてより良好な機能的アウトカムを達成するために推奨される」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)