インフリキシマブ(IFX)投与初期の6〜14週目にCRP値の上昇がみられる場合には、IFX3mg/kgで効果不十分になる可能性が高く、その徴候を捉えてIFXを増量すれば、投与初期の有効性を維持できる可能性が示された。ベルギーMSD社のNathan Vastesaeger氏らが11月7日から11日に米国アトランタで開催された第74回米国リウマチ学会(ACR 2010)において報告したもの。

 関節リウマチ(RA)に対するTNF阻害薬の有効性は、複数のエビデンスで明らかにされているが、十分な効果が得られない患者も一部に存在する。TNF阻害薬の中でもインフリキシマブ(IFX)は、3mg/kgの投与量で効果不十分な場合に、増量すれば有効性が向上する可能性があることが、本邦で行われたRISING studyなどから示唆されている。日常診療では、効果不十分例をいち早く見きわめ、増量することが課題になる。

 Vastesaeger氏らは、IFX投与初期のCRP値の変動が有効性の予測因子になると推測。REMARK試験における患者のCRP値の推移を分析した結果、IFXが効果不十分な患者では6週目から14週目にかけてCRP値の上昇が認められること、この時期にIFXの投与量を増量すれば、多くの患者でIFX投与初期に得られた有効性をそのまま維持できる可能性があることを明らかにした。

 REMARK試験はIFXのフェーズIV試験で、登録患者は728人。78.4%は女性で、平均年齢は54.1歳、平均罹病期間は9.0年だった。登録時のDAS28は5.2、CRP値は2.3mg/dLで、20.1%の患者は、TNF阻害薬使用歴があった。

 EULAR改善基準による改善率(good responseまたはmoderate response)は、2週目で64.7%、6週目で74.1%、14週目には75.7%と徐々に増加した。一方、14週目においてno responseと判定された患者(24.3%)のうち、半数以上(登録患者全体のうち16.4%)は6週目の時点でgood responseまたはmoderate responseであったものが14週時点に再燃していた。

 なお、本試験において「再燃」は「逆EULAR基準」として定義され、ΔDAS28>1.2の場合、または、ΔDAS28>0.6かつ DAS28>5.1の場合、のいずれかを満たすものとされた。

 再燃患者を含むnon-responder(14週時にno responseと判定された患者)は、responder(14週時にgood responseまたはmoderate responseと判定された患者)に比べ、登録時のCRP値がより低く、IFX投与2週目にはresponderと同様にCRP値の低下が認められた。しかし、responderではその後も低値が維持されていたのに対し、non-responderでは6週目に再びCRP値が上昇し、14週目にはさらに高値となった。

 この傾向は、IFX 3mg/kg投与と6mg/kg投与の有効性と安全性を検討した第III相試験(ASPIRE試験)において、IFX 3mg/kg群に割り付けられた277人の患者でも同様に認められた。
 
 また、ASPIRE試験におけるresponderのCRP値は、IFX 3mg/kg群、6mg/kg群とも同様に推移し、6週時も14週時も抑制されていた。これに対し、IFX 3mg/kg群のnon-responderのCRP値は、6週目までは同様に推移していたが、それ以降上昇していた。同じnon-responderでも、IFX 6mg/kg投与患者ではCRP値の上昇がみられなかったことから、IFX3mg/kg投与患者においては6週から14週にかけてのCRP値の変動と治療反応性が連動していることが示唆された。

 以上のように、IFX 3mg/kg投与患者のうちnon-responderは、徴候として6週目から14週目にかけてCRP値が再上昇しており、この徴候を捉えてIFXの投与量を6mg/kgに増量することが、これらの患者での有効性向上に重要であると考えられた。

 一方、昨年報告されたATTRA studyでは、IFX 3mg/kgによる治療を開始し、1年後に5mg/kgに増量されたが、有効性は回復しなかった。この結果からは、増量にはタイムリミットがあることが推測される。

 Vastesaeger氏は、「IFX 3mg/kgで効果不十分となる患者をできるだけ早期に見きわめ、増量などによる対策を講じることが大切で、6週から14週におけるCRP値の変化はそのための有用な指標となるのではないか」と結んだ。

(日経メディカル別冊)