スペイン・ビリャホヨサのMarina Baixa病院のJosé Miguel Senabre氏

 滑膜内に炎症が生じると、血管新生や血流の増加が起こるため、血流量を画像表示するパワードップラー超音波法は疾患活動性の評価に有用とされている。パワードップラー超音波法を用いた研究で、臨床的寛解に至った慢性関節リウマチ(RA)患者でも、52%で血流増加が認められることが明らかになった。スペイン・ビリャホヨサのMarina Baixa病院のJosé Miguel Senabre氏らが、11月7日から11日にまで米国アトランタで開催された第74回米国リウマチ学会(ACR 2010)で報告した。

 この研究では、臨床的寛解にある慢性関節リウマチ(RA)患者について、グレイスケール超音波法とパワードップラー超音波法(PD)を用いて、12関節の疾患活動性を評価した。対象は、Marina Baixa病院のリウマチクリニックで、臨床的寛解(DAS28-ESRまたはDAS28-CRP<2.6)と診断されたRA患者33人とした。

 患者の臨床データについて知らされていないリウマチ専門医1人が、グレイスケール法とPD法を使って、左右の肘(前部と後部)、手首、第2/第3MCP関節(背面、手掌面)、膝(膝蓋骨上部、内側・外側陥凹)、足首(前部)の12関節において、関節腔内の液性貯留(joint effusion)とPD信号を調べた。

 患者の73%は女性で、平均年齢は60歳。RA罹病期間は88カ月(中央値は60カ月)だった。joint effusionは各関節で0〜3点で評価し(OMERACT基準)、点数の合計が10点を超える群(A群)と10点以下の群(B群)に分けた。

 結果として、88%の患者にjoint effusionが認められた。うち22%の患者はjoint effusion が10個超でA群とみなされた。PD信号は全患者の52%にみられた。またX線による骨びらん(erosion)はA群の 57%、B群の27%に存在した。

 PD信号を認めた患者群と認めなかった患者群を比較すると、PD信号あり群の寛解期間は平均19カ月、中央値で9カ月、PD信号なし群は平均21カ月、中央値で11カ月だった。罹病期間はPD信号ありの群で平均が94カ月、中央値が60カ月、PD信号なしの群では平均が81カ月、中央値が56カ月と、2群間で若干の違いが見られた。年齢はPD信号ありの群は平均で65歳、中央値は67歳だが、PD信号なしの群は平均で55歳、中央値で50歳だった。

 これらの結果から、たとえ臨床的寛解に至ったRA患者でも、パワードップラー超音波法を用いて早期に活動疾患性を把握することが、寛解の維持に役立つ可能性が示されたといえる。

(日経メディカル別冊)