コペンハーゲン大学病院のMikkel Ostergaard氏

 デンマークにおける大規模の関節リウマチ(RA)患者レジストリーDANBIOを推進するコペンハーゲン大学病院のMikkel Ostergaard氏らは、最初に処方されたTNF阻害薬を2年以上継続している患者、他のTNF阻害薬に切り替えた患者、TNF阻害薬の使用を中止した患者の3群に分けた解析を行った。その結果、最も関節破壊の進行が少なかったのは、最初のTNF阻害薬を継続している患者群だったことを、11月7日から11日に米国アトランタで開催された第74回米国リウマチ学会(ACR 2010)において報告した。

 2000年に開始されたDANBIOは、デンマークにおけるTNF阻害薬で治療中のRA患者の90%以上を網羅するレジストリーだ。Ostergaard氏らは、TNF阻害薬治療を開始した患者の関節破壊の進行は、導入前より61%抑制され、7割の患者で完全に進行が抑制されていたことを、本年6月の欧州リウマチ学会(EULAR)で報告している。

 今回、このデータベースを利用し、2007年7月1日以前にTNF阻害薬治療を開始した患者のうち、TNF阻害薬治療の(A)開始2年前、(B)開始時、(C)開始2年後の3時点における手、手首、前腕のX線像を欠落なく備えた522人の患者の総Sharpスコア(TSS)を算出し、TNF阻害薬導入前2年間のTSS増加量(ΔTSS/A-B間)と、導入後2年間のTSS増加量(ΔTSS/B-C間)を求めた。

 対象患者の76%は女性で、80%がリウマトイド因子陽性、65%が抗CCP抗体陽性、年齢は21〜86歳(中央値54歳)、罹病期間は0〜67年(中央値5年)だった。また、導入されたTNF阻害薬の内訳は、インフリキシマブが61%、エタネルセプトが15%、アダリムマブが24%だった。

 全522人のうち、2年後時点において最初のTNF阻害薬が継続投与されていた患者(継続群)は312人(60%)、他のTNF阻害薬へ切り替えられていた患者(切り替え群)は150人(29%)、TNF阻害薬投与が中止されていた患者(中止群)は60人(11%)だった。切り替えの理由は「効果不十分」が68%、「有害事象」が26%、中止の理由は「効果不十分」が46%、「有害事象」が37%、「寛解」が2%だった。

 ΔTSS/A-B間の平均値は、継続群が1.93、切り替え群が2.37、中止群が2.38、中央値とその四分位範囲(IQR)は、継続群が0.64(0-2.9)、切り替え群が0.71(0-3)、中止群が1.47(0-2.9)であり、有意差を認めなかった。

 一方、ΔTSS/B-C間は3群ともにΔTSS/A-B間より有意に改善していたが、その程度は各群で異なった。継続群、切り替え群、中止群のΔTSS/B-C間の平均値は0.48、0.88、1.12、中央値(IQR)は0.0(0-0.5)、0.0(0-1)、0.0(0-1.2)であり、継続群において関節破壊の進行が最も抑制される傾向がみられた(パラメトリック解析:p=0.06、ノンパラメトリック解析:p=0.03)。

 また、A-B間にはいずれの群においても6割程度の患者でTSSの増加が認められたが、B-C期間にTSSの増加を認めた患者の割合は、継続群が27%、切り替え群が34%、中止群が43%で、有意な差が認められた(p=0.03)。

 以上の結果から、TNF阻害薬による治療が開始されたRA患者では、導入前に比べて関節破壊の進行が抑制されていたが、TNF阻害薬への切り替えや使用を中止した患者群に比べて、最初に処方されたTNF阻害薬を継続している患者群では最も関節破壊の進行が少ないことから、治療継続の重要性が示唆された。

(日経メディカル別冊)