オランダ・Leiden大学のC. F. Allaart氏

 抗リウマチ薬単剤で治療を開始し、徐々にステップアップするレジメンと、最初から生物学的製剤や高用量ステロイドを使って疾患活動性を抑え、その後薬剤を漸減するレジメンを比較するBeSt試験の7年目の追跡データが報告された。オランダ・Leiden大学のC. F. Allaart氏らが、11月7日から11日まで米国アトランタで開催された第74回米国リウマチ学会(ACR 2010)で報告した。寛解に到達した患者の割合はどの治療群も同程度だったが、ステップアップ治療を行った群では疾患活動性の低下に要した時間が長く、その間に形成された「負の遺産」が7年目の今もQOL低下という形で残っていることが明らかになった。

 BeSt試験は、早期関節リウマチ(RA)患者508人を対象に、(1)メトトレキサート(MTX)単剤で治療を開始し、効果不十分なら増量、さらには他の抗リウマチ薬、インフリキシマブ(IFX)へ変更する逐次的な単剤治療(第1群)、(2)MTX単剤で治療を開始し、効果不十分なら増量、さらには他の抗リウマチ薬を追加、次にIFXへ変更という段階的な併用治療(第2群)、(3)MTX+スルファサラジン+高用量ステロイドの併用で治療を開始し、必要に応じてMTXの増量、IFXに変更(第3群)、(4)IFX+MTXで治療を開始(第4群)という4つのレジメンを比較する試験。

 治療の変更は3カ月ごとのDAS44の値に基づいて行われる。設定された薬剤で低疾患活動性(DAS44≦2.4)に到達しない場合は、次のステップに進む。逆に低疾患活動性の状態が最低6カ月維持できれば、薬剤を順次休薬または減量し、さらに寛解(DAS44<1.6)が6カ月以上維持できればすべての薬剤を中止した(drug-free寛解)。

 7年間の追跡で、全508人中130人(26%)の患者が脱落。各群における脱落率は、第1群が26%、第2群が33%、第3群が26%、第4群が17%で、最も脱落率の低い第4群と、最も脱落率の高い第2群の間には有意な差が認められた(p<0.05)。また、各群で治療のステップアップが進んだ結果、7年目時点で開始時のレジメンがそのまま継続されている患者の割合は、第1群で21%、第2群で16%、第3群で20%まで低下していたのに対し、第4群では継続率56%と、他の3つの群との間に有意な差を認めた(p<0.001)。

 一方、各群の寛解達成率は、第1群49%、第2群39%、第3群53%、第4群45%で、群間に有意差は認められなかった(p=0.35)。また、drug-free寛解の達成率は、第1群16%、第2群16%、第3群15%、第4群16%とほぼ同じだった(p=0.96)。

 しかし、関節破壊の指標であるシャープスコア(TSS)は、第1群と第2群において最初の2年で著明な増加が認められた。各群で治療のステップアップが進み、疾患コントロールが向上したことで、3年目以降の増加ペースは4群ともほぼ同等となったものの、第1群と第2群のHAQ(health assessment questionnaire)スコアは7年目の現在においても、第4群より有意に劣っていた(p<0.05)。また、drug-free寛解者におけるTSSの年間増加量は平均0.3、中央値0で、寛解を達成できれば関節破壊の進行は、ほぼ抑制できることがうかがわれた。

 DAS44を指標とした薬剤の調整、変更などにより、各群の治療内容のクロスオーバーが進んだ結果、4つの群における疾患コントロール状況はほとんど差がみられなくなった。しかしながら、DMARDs単剤で治療が開始された第1群と第2群では、最初の2年間に進行した関節破壊と、それに伴う身体機能の低下に起因するQOLの低下という「負の遺産」が、7年を経ても解消されず残っており、早期からの積極的な治療によって身体機能が維持されることが明らかとなった。

(日経メディカル別冊)