オーストリア・ウィーンKrankenhaus LainzのHelga Radner氏

 関節リウマチ(RA)は慢性の炎症性疾患で、機能障害を伴うことが多く、患者個人や社会にとっても大きな負担になる。オーストリア・ウィーンKrankenhaus LainzのHelga Radner氏らは、QOL関連など複数の尺度を用い、低疾患活動性のRA患者が寛解を達成することが、社会経済学的に意義があることを示した。研究結果は、11月7日から11日に米国アトランタで開催された第74回米国リウマチ学会(ACR 2010)で報告した。

 本研究では連続して受診したRA患者356人を対象とした。機能障害の指標としてHAQ、QOLの指標としてSF-36、ユーティリティの指標としてSF-6DおよびEuro-Quol 5D、労働生産性の指標としてWPAI、RAの疾患活動性の指標としてCDAIに関するデータを収集した。

 寛解定義は、CDAI<2.8、2.8<CDAI≦10を低疾患活動性と定義した。横断解析では寛解群(n=89)と低疾患活動性群(n=152)を、縦断解析では1年以上の観察期間を通じて寛解が持続した群(n=34)と低疾患活動性が持続した群(n=66)を比較した。

 まず、横断解析では、QOL指標であるSF-36の全下位尺度のスコアは、寛解群の方が低疾患活動性群に比べて良好だったが、一般健康集団のスコアと比較すると、心理的健康を除いて、すべての項目でQOLが障害されていることが示された。

 ユーティリティに関しては、寛解群と低疾患活動性群のSF-6Dスコアはそれぞれ0.75、0.66、EQ-5Dスコアは0.89、0.78と、いずれも寛解群で有意に良好だった。また、機能障害の指標であるHAQスコアは0.38、0.75、労働生産性の指標のWPAIは全活動障害度が18.1%、33.8%、就労時障害度が11.3%および27.2%と、いずれも寛解群で有意に良好だった。

 次に縦断解析では、QOLの指標のSF-36の下位尺度のうち、「感情面の役割」以外のスコアは、低疾患活動性群に比べて寛解群で有意に良好だった。また、寛解群および低疾患活動性群のQALY(Quality adjusted life year)はSF-6Dスコアが0.89および0.80、EQ-5Dスコアが0.80および0.66と、いずれも寛解群で有意に良好だった。

 さらに、機能障害の指標のHAQスコアは寛解群の方が有意に良好で、労働生産性の指標のWPAIは就労時障害度には有意差は認められなかったが、全活動障害度は寛解群の方が有意に良好だった。

 このように、QOL、機能障害、労働生産性といった社会経済学的な観点から検討した場合、寛解達成は、低疾患活動性に留まるよりも良好であることが示されたことから、Radner氏は、RA治療では寛解は達成すべき重要なゴールであると結論した。

(日経メディカル別冊編集)