デンマークGentofte and Herlev病院のSusanne Juhl Pedersen氏

 デンマークGentofte and Herlev病院のSusanne Juhl Pedersen氏らは、MRI所見といくつかのバイオマーカーとの関連を検討した結果、仙腸関節の異常所見は軟骨代謝の亢進と相関している一方、TNF阻害薬による治療に伴う仙腸関節炎の改善は、主に全身性の炎症の沈静化と関連していることを見出し、11月7日から11日まで米国アトランタで開催された米国リウマチ学会(ACR 2010)で発表した。

 仙腸関節のMRI検査は、X線像では把握することが難しい早期の仙腸関節炎を鋭敏に捉えることができるため、脊椎関節症(SpA)の診断に重用されている。しかし、MRI画像の異常所見がどのような生物学的変化を反映しているのかは不明だった。また、TNF阻害薬はSpAに伴う仙腸関節炎を改善することが知られているが、その機序は分かっていなかった。

 本検討の対象は、成人SpA患者43人。うち、34人が男性、年齢は21〜62歳(中央値40歳)、罹病期間は1〜45年(中央値14年)、35人(81%)がHLA-B27陽性、疾患活動性の指標のBASDAI(Bath Ankylosing Spondylitis Disease Activity Index)は30〜98点(中央値51点)だった。

 Pedersen氏らは、これらの患者に対し、インフリキシマブ(n=31)、エタネルセプト(n=9)、アダリムマブ(n=3)のいずれかのTNF阻害薬を46週間投与し、治療前と22週後、46週後に仙腸関節のMRI検査を行った。炎症の程度をスコア化(Berlin仙腸関節炎スコアリング法によるSIJスコア)し、その変化を比較した。

 また、炎症マーカーのCRP、IL-6、YKL-40、血管新生のマーカーのVGEF、軟骨代謝のマーカーのCTX-II(II型コラーゲンC末端テロペプチド)、MMP-3、アグレカン、COMP(cartilage oligometric matrix protein)、骨代謝のマーカーのCTX-I(I型コラーゲンC末端テロペプチド)、オステオカルシンの各バイオマーカー濃度も併せて測定し、SIJスコアとの相関を検討した。

 登録時の患者のSIJスコアは0-23(中央値5)で、同スコアとCTX−II値の間には有意な正の相関(r=0.57;p<0.0001)が、COMPとの間には有意な負の相関(r=-0.36;p=0.02)がみられた。しかし、他の8つのマーカーとの間には有意な相関は認められなかった。

 仙腸関節炎陽性群(SIJスコア≧1;n=33)と、仙腸関節炎陰性群(SIJスコア=0;n=10)を比較すると、陽性群では陰性群に比べ、登録時の尿中CTX-II値が有意に高く(490ng/mmol 対 245ng/mmol;p<0.01)、治療中(0〜46週)のCTX-II値の時間積分値が高かった(418ng/mmol 対 214ng/mmol;p=0.009)。

 TNF阻害薬の投与22週後において、仙腸関節炎陽性群の患者のうち17人(52%)に、SIJスコアの改善を認めた。これらの患者群では、改善が認められなかった16人(48%)の患者群に比べ、CRPとIL-6値の低下量が有意に大きかった(ΔCRP:-84mg/L 対 -45mg/L;p<0.01、ΔIL-6:-76ng/L 対 -43ng/L;p<0.05)。

 以上の結果から、SpA患者の仙腸関節に認められるMRI画像の炎症所見は、軟骨代謝のバイオマーカーのCTX-II濃度と相関し、TNF阻害薬投与に伴う炎症所見の改善は全身性の炎症マーカーのCRPやIL-6濃度の低下と相関することが明らかになった。SpAに伴う仙腸関節炎の病態には軟骨代謝の異常亢進が関与しており、TNF阻害薬による仙腸関節炎の改善は、全身の炎症を抑制することによりもたらされ、軟骨代謝も改善する可能性が示唆された。

(日経メディカル別冊編集)