デンマーク・コペンハーゲン大学のMerete L Hetland氏

 抗TNFα薬の登場により、関節リウマチ(RA)の治療成績は飛躍的に向上した。しかし、なかには抗TNFα薬治療に応答しない患者も存在し、そうした患者をあらかじめ判別できれば、その有用性はさらに高まることが期待される。デンマーク・コペンハーゲン大学のMerete L Hetland氏らは、同国のRA患者レジストリーであるDANBIOのデータを解析し、抗TNFα薬治療効果の予測因子の同定を試みた。研究結果はサンフランシスコでこのほど開催された米国リウマチ学会(ACR2008)で発表した。

 DANBIOは、2000年に開始されたデンマーク全国規模の患者レジストリーである。対象疾患はRAと強直性脊椎炎(AS)乾癬性関節炎(PsA)であるが、将来的には筋炎全身性エリテマトーデス(SLE)も含める予定だという。今回の検討では、DANBIO登録者のうち、2007年1月以前に抗TNFα薬治療を開始し、開始後1年以上の診療記録のあるDAS28-CRP>3.2(ベースライン時)のRA患者1070例が解析の対象とされた。

 これらの患者のうち、1年後にACR基準の70%改善(ACR70)を達成しえた患者は251例(23%)であった。Hetland氏らは、ACR70の予測因子候補として、年齢、性、DAS28-CRPHAQスコアステロイドの併用メトトレキサート(MTX)の併用、これまでに使用した抗リウマチ薬(DMARD)の数、リウマトイド因子(RF)陽性、罹病期間を想定し、これらの因子を独立変数とし、1年後のACR70を従属変数とする多変量ロジスティック回帰分析を行った。

 その結果、1年後のACR70達成の予測因子としては、MTXの併用(OR 1.58、95%CI:1.08-2.30、p=0.02)とDAS28-CRPが低値(OR 1.33、95%CI:1.14-1.55、p=0.0004)が同定された。また、ACR70「非達成」の予測因子としては、HAQスコアが高値(OR 0.76、95%CI:0.64-0.91、p=0.002)と高齢(OR 0.84、95%CI:0.75-0.94、p=0.002)が同定された。

 これらのうち、DAS28-CRPはACR70と重なっていることもあり、これが寛解の予測因子となることは当然のことである。しかし、それ以外のMTX併用、HAQ、年齢は寛解基準とは独立した要素であり、有用な予測因子と考えられた。

 以上の結果より、比較的若年でHAQスコアが低い患者に対し、MTXの併用下で抗TNFα薬治療を行う場合、1年後のACR70がかなり期待できるものと考えられた。一方で、性別やステロイドの併用、DMARD使用歴、罹病期間、RF陽性などは効果予測には役立たないことが示唆された。「こうした情報は、RA診療現場における現実的な効果予測手段として有用であろう」とHetland氏は述べた。