オランダ・ライデン大学のN. B. Klarenbeek氏

 早期関節リウマチ(RA)に対する4つの治療戦略の有用性を比較したBeSt試験のこれまでの解析からは、最初から抗TNFα薬を用いて強力に疾患活動を抑えるトップダウン治療戦略が、最も早くから、最も良好な効果を生むことが明らかにされている。オランダ・ライデン大学のN. B. Klarenbeek氏らは、このほどサンフランシスコで開催された米国リウマチ学会(ACR2008)で同試験の最新の追跡データを発表、トップダウン治療の優位性は、5年後も健在であったことを報告した。

 BeSt試験は、(1)メトトレキサート(MTX)単剤で治療を開始し、必要に応じて増量、他の抗リウマチ薬(DMARD)に変更(第1群;n=126)、(2)MTX単剤で治療を開始し、必要に応じて増量、他のDMARDを追加(第2群;n=121)、(3)MTXとスルファサラジン(SSZ)、高用量ステロイドの併用で治療開始(第3群;n=133)、(4)インフリキシマブ(IFX)とMTXの併用で治療開始(第4群;n=128)の4つの治療戦略の比較試験である。

用量の増減や薬剤変更の判断は、DASスコア2.4を目安に3カ月ごとになされた。また、3年目以降は、6カ月以上DAS<1.6が維持できていれば、すべての薬剤を中止して“drug-free”とする試みが付け加えられた。

 主要評価項目は、HAQにて評価した身体機能van der Heijde変法Sharpスコア(SHS)にて評価した関節破壊の進行抑制である。ベースライン時から5年後までのHAQ変化量は、第1群が-0.76、第2群が-0.73、第3群が-0.72、第4群が-0.85であり、第4群における減少が最も大きかったが、統計的に有意な差ではなかった(p=0.56)。

 しかし、HAQの低下に1年以上を要した第1・2群に比べ、治療開始後速やかに低下を得た第3・4群(特に第4群)では、5年間の平均HAQが有意に低値であった(第1・2群 vs 第3・4群:p<0.001、第3群 vs 第4群:p=0.01)。

 また、5年間のSHS変化は、第1群が3.5、第2群が2.5、第3群が1.0、第4群が1.0(いずれも中央値)であり、関節破壊の進行抑制においても、やはり第3・4群が第1・2群より有意に優っていた(p<0.05)。特に、第1群と第2群では1年目のSHS変化が大きく、第1群では第4群の5年分、第2群では第4群の3年分以上に相当する関節破壊の進行が、わずか1年で起こっていることが示された。

 さらに、6カ月以上のDAS<1.6を達成し、drug-freeを得た患者の割合は、第1群が14%、第2群が16%、第3群が10%、第4群が19%であり、ここでは第4群が最も高い値を示した。なお、1年以上にわたってdrug-freeを維持できている症例は41例あり、第4群が最も多かった(第1群10例、第2群9例、第3群7例、第4群15例)。これらの症例では、休薬後にもほとんどSHSの進行が起こっていないという。

 なお、5年経過時における寛解率(DAS<1.6)は48%であり、各群間に差は認められなかった。しかし、第3・4群(特に第4群)では、HAQの改善とSHSの進行抑制効果が早くから現れ、その優位性は5年後にも維持されていたことが今回明らかになったわけである。ことに、不可逆的な関節破壊が最も進行する発症早期の時期にその抑制を得て、高いQOLを維持できることの意義は大きい。また、究極の目的である完全寛解によるdrug-freeを得るうえでも、IFXによる早期からの積極的治療の優位性が揺るぎないものであることが確認されたといえよう。