米バージニア・コモンウエルス大学のFlorina Constantinescu氏

 関節リウマチ(RA)の外来患者を対象とした面接調査による研究で、治療に対する主な関心が人種など社会的立場によって大きく異なることが明らかになった。白人は、治療の有効性に関心を持つ傾向があり、黒人は有効性がたとえ少なくても副作用などの有害事象が少ない治療を求める傾向があった。米バージニア・コモンウエルス大学のFlorina Constantinescu氏らの研究結果で、サンフランシスコで開催された米国リウマチ学会(ACR2008)で10月27日に発表した。

 研究グループはRA薬剤治療に対する患者の嗜好の違いを調べるため、「コンジョイント分析ACA:Adaptive Conjoint Analysis)」と呼ばれる手法を用いた。これはどんな商品が好まれるかを調べ、最適な商品コンセプトを見つけ出すためのマーケティング調査手法の一つ。

 対象は、リウマチ科の外来診療施設を受診した白人と黒人のリウマチ患者136人で、リウマトイド因子陽性、英会話が可能であることを条件とした。

 対象者のうち、黒人が67人(49%)、白人が69人(51%)、平均年齢は両群とも55歳、RA罹患期間は7年 vs. 8年、女性比率(91% vs. 75%)、健康保険加入率(96% vs. 88%)に大きな違いはなかったが、既婚(19% vs. 61%)、4万ドル以上の収入(23% vs. 52%)などには比較的大きな差がみられた。

 調査は、通常の予約再診による診療後、1対1の対面形式で行い、コンピューター入力によって設問に回答する方式で実施した。設問はRA薬剤治療に関連する10分類。薬剤の有効性に関する3項目(寛解、改善、X線的増悪)、投与方法、有害事象に関する6項目(接種時副反応、吐き気など一時的副作用、肺傷害、結核、神経障害などまれな副作用、発癌リスク)とした。

 これらの項目について、ACA調査手法に基づいた設問により、治療に対する患者の嗜好を調べた。設問はたとえば、次のようなものである。
「2種類の薬で、次のような違いはあなたにとってどのくらい重要ですか? (1)注射した時の副作用が全くない、(2)100人中30人は吹き出物や注射した場所に炎症が起きる」
「次のどちらの治療がいいですか? (1)6〜8週間ごとに点滴をうけると、100人中30人は骨の破壊が止まる、(2)1〜2週間ごとに自己注射を行うと、100人中50人は骨の破壊が止まる」。

 調査の結果、有害事象を有効性よりも重視する回答パターンを示した患者は、白人では12%に過ぎなかったが、黒人では52%と過半数を占め、治療に対する姿勢が有意かつ大きく異なっていた(p<0.0001)。

 ほかの社会的因子で有害事象を重視する傾向が有意に大きかったのは、非婚姻(39% vs. 20%、p=0.02)、大学教育を受けていない(46% vs. 21%、p=0.002)、低年収(38% vs. 21%、p=0.05)の各要因だった。

 多変量解析社会的因子臨床的因子を調整したところ、薬剤治療に対する嗜好の独立因子になったのは、黒人(調整オッズ比8.4:3.1-23.1)と大学教育(同3.5:1.4-8.6)だった。

 Constantinescu氏らは、「黒人は白人に比べ、特に薬剤による癌発症を恐れる傾向がある。こうした嗜好の違いがなぜ生じるかについては、今のところ分からないが、リスクの伝達と有効性の教育の機会を増やすべきだろう」と指摘していた。