米ペンシルバニア州ダンビルGeisinger医療センターのAndroniki Bili氏

 抗リウマチ薬ヒドロキシクロロキン(HCQ、日本では未承認)関節リウマチ(RA)患者の糖尿病発症リスクをほぼ半減することが、米国のRA患者を対象とした研究で確認された。RA患者は全身性炎症をはじめ、糖尿病のリスク因子を多く有すると考えられるのに、欧米で糖尿病発症率が健常人と大差ないのは、HCQ投与が関与している可能性があるという。米ペンシルバニア州ダンビルGeisinger医療センターのAndroniki Bili氏が、サンフランシスコで開催された米国リウマチ学会(ACR2008)のポスターセッションで10月27日に発表した。

 対象は、民間医療保険のGeisinger Health System(米ペンシルバニア州)の加入者で2000年9月から2008年2月にかけて2回以上、リウマチ医の外来診療を受けたRA患者。生涯医療記録EHR:Electronic Health Record)で確認した2093人から、糖尿病の有症者269人を除いた1824人について調べた。

 HCQの服用の有無で対象者を2群に分け、糖尿病発症率を1000人年当たりの糖尿病発症者数として求め、両群で比較した。糖尿病発症に対するHCQ服用のリスクと保護的効果については、Cox比例ハザードモデルで評価した。関連性については、服用の有無だけでなく、服用期間との関連についても調べた。

 患者は74%が女性、97%が白人で、平均BMIは29.3kg/m2。79%がリウマトイド因子陽性、52%が抗CCP抗体陽性。HCQ服用者は489人、非服用者は1335人で、両群の平均追跡期間はそれぞれ35.6カ月、36.3カ月だった。

 追跡期間中、HCQ服用群で16人、非服用群で154人が糖尿病を発症した。発症率はHCQ服用群で17.2/1000人年、非服用群で33.8/1000人年だった。性・年齢、BMI、リウマトイド因子、抗CCP抗体、ステロイド剤メトトレキサート抗TNFα薬などで調整した糖尿病発症のハザード比は0.47(95%CI:0.26-0.82、p=0.008)で、糖尿病発症リスクがほぼ半減していたことになる。服用期間については有意な関係がみられなかったが「観察期間が短かったためではないか」(Bili氏)という。

 リウマチ患者におけるHCQによる糖尿病発症リスク減少については、米ピッツバーグ大学リウマチ免疫科のMary Chester M. Wasko氏らが先行研究を行い、JAMA誌2007年7月11日号に論文掲載されている(現在、全文をこちらで閲覧可能)。しかし、同研究は患者に対する郵送調査に基づくものであった。医師の記述と検査データに基づく本研究が同様の有用性を示したことでWasko氏らの研究成果が裏付けられたことになる。

 Bili氏は、「HCQは低コストで安全性も高く、一般人口の糖尿病予防薬としても有用ではないか」との期待を示していた。