ニューヨーク大医学部のCarolina Llanos氏

 先天性完全房室ブロックCHB)と母由来の自己抗体との関連が知られているが、抗Roあるいは抗La抗体陽性の母親からCHBの第2子が生まれる頻度は約20%であることが分かった。新生児ループス登録研究に登録された女性を対象とする研究によって明らかになったもので、米ニューヨーク大医学部のCarolina Llanos氏(写真)らが10月28日、サンフランシスコで開催中の米国リウマチ学会ACR2008)で発表した。

 演者らは、新生児ループス登録研究(RRNLResearch Registry for Neonatal Lupus)に登録している416人の女性のうち、CHBの子供を生んでから再び妊娠した124人(129児)についてレトロスペクティブ研究を行った。

 分析の結果、患者背景として母親124人の79%は白人という特徴があった。129児のうち、心疾患を伴っていたのは25児(19%)で、20児(16%)がCHBのみ、3児(2%)がCHB+皮疹、2児(2%)が致死的な孤立性心筋症/弁機能不全だった(以下すべてCHBとして分類)。皮疹のみは11児(9%)、残り93児(72%)は健康だった。

 CHBの重症度別に見ると、25児のうち3児(12%)は第1度、20児(80%)は第2度あるいは第3度だった。6児(24%)は死亡していた。

 なお、CHB児の68%は、妊娠18週から25週の間に診断されていた。演者らはこの点に触れ、CHB再発のリスクがある妊婦では、週単位の胎児心エコーによるモニタリングが欠かせないと指摘した。

 胎児の危険因子の分析では、第2子の性別は再発に影響を及ぼさず、25児のCHB再発のうち14児(56%)が女児だったのに対し、非CHBの子供104児のうち女児は57児(55%)だった(p=1.0)。CHBの第1子の死亡も第2子のCHBの予測因子にはならず、再発CHBで7/25(28%)だったのに対し、非CHBで25/104(24%)だった(p=0.79)。

 また、母由来の抗SSA/Ro抗体陽性かあるいは抗SSB/La抗体陽性のどちらも危険因子ではなかった。

 一方、母親側の危険因子については、母体の健康、抗体状態などを検討したが、いずれもCHB再発との関連性は確認できなかった。ステロイドついても、CHB再発の母親で5/25(20%)、非CHBで21/104(23%)に使われており有意差はなかった。この点について演者らは、母体への影響を考えれば「ステロイドの使用は推奨されない」と強調した。

 CHBの再発に続く妊娠が4件あったが、2児がCHBで、1児は皮疹のみ、1児は健康だった。CHBの第2子に続く妊娠では、50%にCHB児が生まれていた。

 これらの結果から演者らは、「CHBの第2子が生まれる頻度は約20%で、CHBの子供を生んだことのない抗Roあるいは抗La抗体陽性の母親に対するのリスクは10倍だった」と結論した。また、危険因子の分析からは、胎児の性別、CHBの第1子の死亡、母親の健康状態、ステロイド使用などの影響は受けないことが明らかになったとした。ただし、「10倍もリスクが高いことから、何らかの胎児の遺伝的要因が関係している」とし、「(今回の分析では有意ではなかったが)FcγRIIIAおよびTGFβの遺伝子型が胎児の危険因子になり得る可能性はある」と考察した。