オーストリア・ウィーン大医学部のKlaus P.Machold氏

 ごく初期の関節炎に対するグルココルチコイドの効果は、限定的であることが報告された。臨床試験のSAVEStop Arthritis Very Early)によって明らかになったもので、オーストリア・ウィーン大医学部のKlaus P.Machold氏(写真)らが10月27日、サンフランシスコで開催されている米国リウマチ学会ACR2008)で発表した。

 ごく初期の関節炎(VEA:Very Early Arthritis)の場合、早期の診断あるいは分類が難しい症例や、身体障害を引き起こす恐れのあるような破壊性関節炎へ進むかどうか予測できない症例も少なくない。その一方で、初期治療としては、しばしばグルココルチコイドが用いられ、関節リウマチの進行やDMARD治療開始の必要性を遅らせるかあるいは回避できることが示唆されている。

 臨床試験SAVEでは、症状のある期間が16週未満である患者を対象に、グルココルチコイドの効果を検討した。患者には、120mgメチルプレドニゾロン(MP)またはプラセボを1回筋肉注射して以降、2週目、12週目、52週目に訪問し、計52週間にわたって追跡した。

 主要評価項目は、薬を使わない臨床的寛解期とし、(1)腫れた関節の数(SJC)が0、(2)圧痛のある関節の数(TJC)≦2、(3)正常CRP、患者による疾患活動性の総合評価<1cm(10cm視覚的アナログ尺度;VAS)、痛み<1cm(10cm VAS)のうちの2つ――の3項目が12週目と52週目にすべて満たされている状態と定義した。

 登録患者は389人。このうち6人は条件に添わなかったため383人を対象とした。198人にMPを投与し、185人にプラセボを投与した。383人の13.3%がプロトコルに適合した寛解を達成した。内訳は、MP群が24人(12.1%)とプラセボ群が26人(14.1%)で、フィッシャーの直接確率検定では両群に有意差はなかった(p=0.65)。

 副次的評価項目の分析では、2週目で両群の差が明らかになった。たとえば、TCJ、VASによる痛みと総合評価、朝のこわばりの持続時間、関節リウマチの活動性を表す指標(DAS28)については、MP群がプラセボ群より有意だった。ただし、これらの差は、その後の試験期間で消失した。なお、急性期反応物質とSJCについては、差は見られなかった。

 全体で162人がDMARD治療を受けていた。DMARD治療開始の患者数は、少関節炎患者より多発性関節炎患者で有意に多かった(オッズ比2.91、95%信頼区間1.79−4.72、p<0.0001)。また、MP群の50.3%とプラセボ群の56.7%で、DMARD治療を開始していた(p=0.3004)。同様に、RAと分類された患者の割合は、MP群とプラセボ群で同様だった(45.1%対50.7%、p=0.3586)。

 これらの結果から演者らは、「VEAでは寛解に至るのは患者の15%以下であり、グルココルチコイド治療によって寛解率を向上させることはできなかった」とし、さらに「グルココルチコイド治療がRA診断の頻度とDMARD開始に影響を与えることは、確認できなかった」と結論した。ただし、「初期治療として120mgのMPを筋肉注射したところ、短期間(2週間)ではあるが、ある程度の症状軽減に至ったのは成果の一つ」(Machold氏)などと考察した。