発症早期の関節リウマチ(RA)患者に対し、当初からインフリキシマブ(IFX)を用いてアグレッシブに治療することで、抗リウマチ薬(DMARD)単剤で治療を始めるより良好な臨床経過が期待できる。高額な薬剤を早期から用いることに抵抗感はあるものの、Abt Bio-Pharma SolutionsのMichael Ganz氏らは、長期的な費用対効果で考えれば、この「初期投資」は十分回収し得るものであるとの解析結果を、サンフランシスコで開催中の米国リウマチ学会(ACR2008)で報告した。

 同氏らは、早期RA患者に対する4つの治療戦略の臨床的有用性を比較したオランダの無作為化試験であるBeSt試験において、IFX+メトトレキサート(MTX)にて治療を開始する群(IFX群;n=124)と、DMARD単剤で治療を開始する群(DMARD群;n=120)に割り付けられた患者の2年間の身体機能スコア(HAQ)データを抽出。同様の患者を対象とした他の報告を参考に、3〜5年後のHAQ値を予測した。また、その値を英国国立医療技術評価機構(NICE)の公式(※)に当てはめ、両群の患者のQALY(生活の質を調整した生存年)を算出した。

 その結果、DMARD群におけるHAQは、0.74、0.64、0.74、0.82、0.88と年を追うごとに悪化することが予測されたのに対し、IFX群では、0.51、0.45、0.50、0.54、0.56と、比較的良好な値が維持されるものと考えられた。これに伴い、5年間のQALYも、DMARD群が2.91年、IFX群が3.30年と計算された。

 次にGanz氏らは、英国の医薬品集に基づき、これらの患者が英国で同様の治療を受けたと仮定した5年間のコストを計算した。その結果、IFX群の出費は1年目こそDMARD群の1155ポンドに比べて8131ポンドと高額になるものの、2年目以降のコストはともに3,600ポンド/年程度で変わりないものと計算された。

 なお、NICEでは、適切なコストの基準を「QALY 1年当たり3万ポンド以下」としている。IFX群のQALY 1年当たりのコストは、1年目こそ9万2764ポンドとなるが、5年目の終わりには1万5965GBPにまで低下する計算となり、上記の基準を十分に満たすものと考えられた。

 以上のように、IFXの早期導入に要する「初期投資」は、十分に回収可能であることが示唆された。Ganz氏らは、「早期からIFXを用いることは医療経済的にみても好ましい戦略だと考えられる」と結論づけた。

※QALYs=0.862−0.327HAQ