複数の研究成果から、関節リウマチ(RA)患者は一般人口に比べ、肺癌の発症率や肺癌死亡率が高いことが指摘されている。この原因の1つとして、免疫抑制や細胞毒性などの作用をもつ抗リウマチ薬(DMARDs)の使用との関連性が懸念される。しかし、2万人超のRA患者を対象としたカナダの研究で、DMARDs使用と肺癌の発症には、有意な関連がみられないことが明らかになった。カナダ・モントリオールMcgill大学のAnn Clarke氏が11月9日、米国リウマチ学会・学術集会のポスターセッションで発表した。

 Clarke氏らは、1980年1月〜2003年12月を研究期間として、保健医療管理データベースに登録されたRA患者2万3810人を対象とした。肺癌の罹患歴はレセプトデータと入院記録によって確認した。肺癌1症例につき、年齢と性を一致させた10例を対照群に設定した。DMARDs投与の影響を検討する際には使用期間を考慮し、併用薬(ステロイドNSAIDs選択的COX-2阻害薬、DMARDsの複合使用)で調整した。

 15万7204人・年の追跡で期間中960件の肺癌発症があった。ロジスティック回帰分析による個々のDMARDsの相対リスクは次のとおりだった。メトトレキサート RR=1.12(95%信頼区間0.97-1.29)、シクロフォスファミド RR=1.09(同0.76-1.57)、アザチオプリン RR=0.89(0.65-1.22)、抗マラリア薬 RR=1.11(0.96-1.28)、抗TNF製剤 RR=0.84(0.19-3.73)、その他のDMARDs RR=1.13(0.97-1.32)。

 これらの結果をもとにClarke氏らは、「DMARDs使用は、RA患者における肺癌発症リスクの修飾要因であるという仮説は支持されなかった。RA患者における肺癌発症リスクの増加はDMARDs以外の要因に関連しているとみられる」と結論付けていた。