イタリア・ジェノバ大学リウマチ科のAlberto Sulli氏

 関節リウマチ(RA)の代表的な治療薬であるメトトレキサート(MTX)の投与に当たっては、有害事象の予防や治療にしばしば葉酸剤が用いられる。しかし、葉酸のむやみな投与はMTXの薬効を減弱し、治療を遅らせてしまうことがあるという。イタリア・ジェノバ大学リウマチ科のAlberto Sulli氏(写真)が11月9日、米国リウマチ学会・学術集会のポスターセッションで報告した。

 Sulli氏らは、低用量MTXの有効性と安全性に対する葉酸の影響を評価する目的で、後ろ向き研究を実施した。対象は、低用量MTX投与で治療を開始した119人の患者(平均62歳、RA平均罹患歴21カ月)で、うち57人が葉酸投与あり、62人が葉酸投与なしだった。

 患者は最大60カ月フォローアップした。ただし、MTX投与中止、または新たな抗リウマチ薬(DMARDs)生物学的製剤を投与開始した場合は追跡を中止した。

 ベースラインのMTX平均投与量は、葉酸投与群で週8.3mg、葉酸非投与群で週8.1mg、プレドニゾンの平均投与量は、7,4mg/日 vs 5.3mg/日、平均の疾患活動性スコア(DAS28)は、5.1 vs 4.8だった。追跡期間中の最大MTX投与量は週15mgとした。

 追跡の結果、葉酸非投与群では43%に有害事象がみられたのに対し、葉酸投与群で26%と有意に少なかった(p=0.049)。葉酸投与の有無による有害事象の種類には違いがみられなかった。葉酸非投与群でトランスアミナーゼ上昇がみられた患者に対しては、MTX投与を2週間中止することで回復した。

 一方、治療効果では逆の結果となった。開始3、6、9、12カ月目時点で、葉酸非投与群は葉酸投与群に対し、DAS28が有意に低かった(p<0.04)。また、葉酸非投与群は投与群に対し、追跡期間中の全期間でプレドニゾンの容量が少なかった(24カ月目を除いて有意、p<0.01)。MTX自体の投与量についても、葉酸非投与群は投与群に対して、追跡全期間で少なく、3-12カ月目と36カ月目では有意な差がついた(p<0.01)。

 これらの研究成果からSulli氏は、「低用量MTXによるリウマチ治療に当たっては、有害事象をよく見極め、軽度であれば葉酸投与なしで始めるべきだ」と指摘した。米国やカナダなどでは、先天性神経管奇形を予防するため、食品への葉酸添加が義務付けられている。Sulli氏は「MTX治療の効果が低い場合、葉酸の摂取や服用を疑うことも必要」と警告していた。