関節リウマチ(RA)患者のインスリン抵抗性(IR)有病率は、RAではない人々に比べ高いとする報告があるが、リウマチ関連疾患の治療に用いられるステロイドグルココルチコイド)がインスリン抵抗性の独立した危険因子であることが明らかになった。米ジョンス・ホプキンス大学のDimitrios A. Pappas氏らの研究で、米国リウマチ学会・学術集会のポスターセッションで11月9日に報告された。

 Pappas氏らが研究対象としたのは、ESCAPE-RA(Evaluation of Subclinical Cardiovascular disease and Predictors of Events in RA)と呼ばれるコホート研究の参加者で、45〜84歳の男女RA患者からなる。対照群は、人口統計学的にマッチしたRAではない人々とした。インスリン抵抗性の評価にはHOMA法を用いた。

 RA群の現在のステロイド使用と過去10年間の累積曝露は自己申告により評価し、可能なケースについてはカルテを参照して確認した。

 多変量線形回帰(MLR)モデルを用いて、HOMA-IRと現在のステロイド使用、累積曝露量の関連を調べた。人口統計学的要因、ライフスタイル、体組成、心血管リスク、RAの特性、RA治療などの交絡因子で調整した。

 196人のRA患者(60%が女性、86%が白人、平均年齢59.5歳、DAS28の平均値は3.67、HAQの平均値は0.83)と対照群272人を比較したところ、HOMA-IRの平均は対照群に比べRA群で28%高く、差は有意だった(1.04 vs 0.81、p=0.001)。

 RA患者の38.8%(75人)はステロイドを使用中で、用量の中央値は5mg/日だった。患者の74.5%(146人)は、過去10年間に1カ月を超えるステロイド使用歴があり、10年間の累積曝露量の中央値は5.46gとなった。

 多変量解析で、現在のステロイド使用、HDL-C低下、体幹脂肪の増加、ステロイド用量の増加、の各因子は、性別と空腹時血糖値で調整後もIRの予測因子として有意だった。

 現在もステロイドを1〜5mg/日使用している群(47人、24.0%)では、非使用患者群に比べ、対数変換したHOMA-IR値が0.25ユニット(95%信頼区間0.06-0.44)高かった。これはHDL-Cの15mg/dL低下、または体幹脂肪の8.9kg増加に等しいという。ステロイド使用量が5mg/日超(29人、14.8)の群では、同様にHDL-Cの19mg/dL低下、または体幹脂肪11.4kg増加に匹敵した。

 この関係は男女両方に見られた。RAの活動性、炎症マーカーはいずれもこれらの結果に有意な影響を及ぼさなかった。

 累積曝露量とIRの関係は、女性でのみ有意だった。女性患者では、対数変換したHOMA-IR値は、過去のステロイド曝露1g当たり0.016ユニット上昇した。これはHDL-C1.2mg/dL低下、体幹脂肪0.5kg増加と等価になる。

 Pappas氏らは本研究により、RA患者でインスリン抵抗性の上昇が起きており、現在のステロイド投与がその独立した危険因子であることを明らかにした。ステロイドの用量が多いほど影響は大きかった。同氏は、「ステロイドの使用を最小に抑えれば、インスリン抵抗性への影響は減少するため、心血管リスクの低減が期待できる」と示唆していた。