非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)による消化管潰瘍の予防を目的としてプロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用が行われるが、重症の潰瘍を1例予防するためのPPIの薬剤費は、最も安価なジェネリック製剤を使用した場合で約80万円であることが示された。オランダTwente大学のHarald E. Vonkeman氏らが11月8日、米国リウマチ学会・学術集会のポスターセッションで報告した。

 NSAIDsの長期投与は、リウマチ患者の鎮痛治療に欠かせないものとなっている。このためNSAIDsによる深刻な消化管潰瘍をいかに予防するかは重要な課題であり、PPIの併用による予防法が有望視されているが、薬剤コストに見合う治療効果が得られているかどうかは社会的に大きな関心事と言える。

 今回、Vonkeman氏らは、5万人を超える大規模なNSAIDs使用者コホートから、入院を要する深刻な消化管潰瘍を発症した104例(潰瘍群)と、そうでない284例(対照群)を抽出し、PPIの併用による費用対効果を検討した。

 NSAIDsに伴う重症潰瘍リスクはPPIを使用することで67%抑制され(補正後オッズ比0.33、95%信頼区間:0.17-0.67、p=0.002)、1000人当たりの推定潰瘍発症率は、PPI非併用群の13.8件に対し、PPI併用群では3.6件となっていた。

 最も安価なPPIを服用した場合、PPI投与に伴う追加コストは、1000人当たり5万94ユーロ(約817万円*)であり、PPIの併用で深刻な潰瘍を1件防ぐための費用(費用対効果)は4907ユーロ(約80万円)になると推定された。

 ただしPPI併用に伴う1カ月間の必要経費は製剤ごとに大きく異なり、最も高い薬剤では、潰瘍1件を防ぐ費用が3万7899ユーロ(約617万7537円)となった。

 本研究は、NSAIDs潰瘍の予防と治療をコスト面で対比する素材を提供するもので、リウマチ医療の社会経済的分析の手がかりの1つになりそうだ。

*1ユーロ=163円として算出