記者会見で発表の概要を述べる米タフツ・ニューイングランド医療センター(ボストン)のTimothy McAlindon氏

 変形性膝関節症の患者では、ビタミンDが不足していると痛みが強くなり、歩行困難も悪化することが確認された。患者100人を対象とした断面調査の結果、明らかになった。米タフツ・ニューイングランド医療センター(ボストン)のTimothy McAlindon氏(写真)らの研究グループが11月8日、米国リウマチ学会・学術集会のポスターセッションでに発表した。

 研究グループは、変形性膝関節症の症状進行に関する臨床試験に参加した患者100人(女性65人、男性35人、平均年齢63.5歳)の試験開始時における断面調査の結果を報告した。

 臨床試験の参加条件は、慢性的な膝症状がある、X線画像上、脛大腿の関節炎症状がある(K/Lスコア≧2)、血清25(OH)D(活性型ビタミンD)<80ng/mL、痛みと歩行機能に関する検査を実施する、などとしている。

 調査の結果、対象者の平均BMIは30.4、K/Lスコアは2が50人、3が29人、4が21人。59人が鎮痛薬を使用していた。100人中54人はビタミンDサプリメントを服用していたが、活性型ビタミンD濃度の平均値は31.6ng/mLで、47%が不足状態(<30ng/mL)だった。

 McAlindon氏らは、活性型ビタミンDの血清=高濃度(≧30ng/mL)に対する低濃度(<30ng/mL)における疼痛と関節機能に対するオッズ比を求めた。多変量ロジスティック回帰分析を行い、性、年齢、人種、BMI、瀉血の頻度、K/Lスコアで調整した。

 疼痛については平均6.7で、WOMAC疼痛スコア>6を疼痛が強い、6以下を疼痛が弱いとした場合、調整済みオッズ比は3.26(1.09-9.77)で、ビタミンD濃度が低いと有意に疼痛が強かった。

 20m歩行テストについては平均17.4秒で、16秒以上を遅い、16秒未満を速い群とした場合、調整済みオッズ比は3.36(1.12-10.0)で、ビタミンD低濃度は歩行能力の低下と有意な関連性があった。

 一方、椅子起立テストについては平均21.4秒で、20秒以下を早い、20秒超を遅いとした場合、調整済みオッズ比は、0.97(0.30-3.12)で、ビタミンD濃度と起立速度に有意な差はみられなかった。

 これらの結果からMcAlindon氏らは、変形性膝関節症患者では、ビタミンD不足は疼痛や機能低下と関連性がみられ、ビタミンDが有益な疾患修飾が可能な薬剤になる可能性があることを指摘、研究グループが現在進めている無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験により、有効性を確認できると期待を示していた。