抗TNFα薬の登場は、従来療法でコントロール不良な関節リウマチ(RA)患者への大きな福音となったが、副作用のために抗TNFα薬投与を中断せざるを得なかった患者に対する再投与の安全性に関する情報は少ない。田辺三菱製薬の矢野敏朗氏らは、インフリキシマブ(IFX)市販後全例調査(PMS)にて集積されたIFX投与RA患者5000例のデータを解析、肺炎投与時反応既往者にIFXを再投与した場合の安全性について、米国リウマチ学会・学術集会のポスターセッションで報告した。

 IFXは、従来薬とは全く異なる新たな機序をもつがゆえ、その承認に当たり、わが国では全例登録のPMSが実施された。その結果、日本におけるIFXの安全性プロファイルを確立すると同時に、様々な貴重なデータを生み出すこととなった。今回の矢野氏の報告もその一つである。

 PMSの対象は、メトトレキサート(MTX)投与にもかかわらずコントロール不良にて、MTX併用下でIFX投与を受けた活動性RA患者5000例である。これらの患者のうち、IFX初回投与から6カ月以内に何らかの副作用を認めた患者は1401例(28.0%)、重篤な副作用の発現をみた患者は308例(6.2%)であった。

 主な副作用は、感染症(433例、8.7%)と投与時反応(484例、9.7%)であった。今回矢野氏らは、細菌性肺炎(108例、2.2%)と投与時反応の既往者に対するIFX再投与の安全性データを集計した。

 細菌性肺炎を発現した108例のうち、44例(40.7%)の患者が初回投与から6カ月以内にIFX再投与を受けた。再投与患者における全副作用の発現率は18.2%、重篤な副作用の発現率は6.8%であり、初回投与時と比べて増加は認められなかった。また、細菌性肺炎の再発をみた患者は1例のみ(2.3%)であった。

 一方、投与時反応を発現した484例中349例(72.1%)がIFX再投与を受けたが、重篤な副作用の発現率は5.2%にとどまった。また、重篤な投与時反応の発現率は1.1%であった。

 以上のように、初回投与時に細菌性肺炎が発現した患者の約4割、投与時反応の発現をみた患者の約7割が6カ月のPMS期間内にIFXの再投与を受けていたが、これらの患者においても肺炎や投与時反応を含めた重篤な副作用の増加は認められなかった。細菌性肺炎や投与時反応既往者へのIFX再投与は可能であり、患者個々に応じてIFX再投与を含めた治療方法の選択が可能であると言えるだろう。