前部ぶどう膜炎(AU)は、脊椎関節症(SpA)の重篤な関節外症状の1つであり、時には身体障害の原因ともなる。スペインのラパス大病院のTatiana Cobo Ibá ñ ez氏らは、AUの既往を持つSpA患者において、新たなAU発作発現に対する抗腫瘍壊死因子(TNF)α薬の影響を検討した結果、インフリキシマブによる治療を受けているSpA患者は、エタネルセプトで治療中の患者に比してAUの新規発作発現が少なかったことを報告した。
 Ibá ñ ez氏らは、インフリキシマブまたはエタネルセプトにて治療中のSpA患者107例の医療記録を総覧。抗TNFα療法開始以前に一度以上のAU発作を起こしたことのある患者15例(インフリキシマブ群9例、エタネルセプト群6例)を見いだした。SpA診断時の年齢、最初のAU発作時の年齢、抗TNFα療法開始時の年齢、抗TNFα療法開始までの罹病期間には、両群間に有意な差は認められなかった。


 これら抗TNFα療法を受けた15例の患者のうち、インフリキシマブ群1例、エタネルセプト群3例が、抗TNFα療法開始後に新たなAU発作を起こした。抗TNFα療法開始前と開始後の両群の患者1人当たりの平均AU発作回数は、インフリキシマブ群は0.638±0.307回から 0.080±0.285回へと有意に減少していた(P=0.045)。一方、エタネルセプト群では、抗TNFα療法開始後にも発作回数の減少は認められなかった(0.417±0.186回 → 0.539±0.789回)。

 インフリキシマブ群におけるAU発症率は、治療開始前の9.61/100人・年から、3.64/100人・年とほぼ半減していたが、エタネルセプト群では9.63/100人・年からほぼ2倍の20.68/100人・年へと増加していた。

 以上より、インフリキシマブにて治療中のSpA患者では、エタネルセプトで治療中の患者に比してAUの新規発作発現が少ない傾向があることが示された。日常臨床の場において、こうした傾向が見られることを示した報告は、本検討が最初と思われる。今後、この知見の裏付けとなる適切にデザインされた比較試験の実施が望まれるところである。